2026年11月5日時点の自民党執行部を確認すると、党三役の顔ぶれは次のとおりです。
| 役職 | 氏名 | 主な担当 |
|---|---|---|
| 幹事長 | 鈴木俊一 | 党務全般、人事、組織運営、国会・選挙対策 |
| 総務会長 | 梶山弘志 | 総務会の運営、党の重要事項の審議・決定 |
| 政務調査会長 | 小林鷹之 | 政策の調査研究、立案、党内政策調整 |
出典:自由民主党公式「役員名簿」。2026年11月2日現在の執行部を基準に整理。
2026年9月16日、自民党は党役員任期の満了に伴う新たな人事を発表しました。
この人事では、鈴木俊一氏が幹事長、小林鷹之氏が政務調査会長にそれぞれ再任され、総務会長には、それまで国会対策委員長を務めていた梶山弘志氏が就任しました。
総裁は高市早苗氏、副総裁は麻生太郎氏です。つまり、2026年11月の党執行部は、高市総裁を中心に、党務・意思決定・政策立案を担う3人がそれぞれの分野を担当する体制です。
この人事は、単なる役職の入れ替えではありません。鈴木氏と小林氏の続投に対して、梶山氏を総務会長に起用した点からも、党内の継続性と意思決定機能の両立を意識した布陣と読み取れます。
3人の役割をもう少し詳しく見る鈴木俊一幹事長
党三役のなかでも、とりわけ党運営の実務を広く担うポストです。
党内の人事や組織運営、国会対応、選挙に向けた調整など、党の活動全般を統括します。2026年9月の再任時には、党内融和と一致団結を重視する姿勢を示し、連立を組む日本維新の会や他の野党との連携にも言及しました。
梶山弘志総務会長
総務会という党の重要な意思決定機関を取り仕切ります。
政策や党運営をめぐる意見を集約し、党としての合意形成を進める役割です。梶山氏は2026年9月の就任会見で、総務会について常設の最高意思決定機関と説明し、活発な議論と円滑な党運営を目指す考えを示しました。
小林鷹之政務調査会長
党の政策立案を担う責任者です。
経済、外交、安全保障、社会保障、教育など、幅広い政策分野について党内の議論をまとめます。政府が実行する政策と自民党の政策方針を調整するうえでも重要な立場です。
2026年9月の会見では、党内外の意思疎通を図り、自由闊達な議論を促しながら政策を取りまとめる考えを示しています。
【幹事長・総務会長・政調会長】党三役それぞれの権限と役割

党三役は同じ重要ポストでも、担当する仕事と影響力の及ぶ範囲が異なります。
1.幹事長は党運営を統括する実務上の要職幹事長は、総裁を補佐し、党務を執行する役職です。
自民党の党則第8条では、幹事長について総裁を補佐して党務を執行すると定めています。また、幹事長の決定については、総務会の承認を受けて総裁が行う仕組みです。
具体的な担当分野は次のとおりです。
- 党内の組織運営と人事
- 党の財務・経理に関する業務
- 国会対策や国会議員との調整
- 選挙における候補者選定や公認調整
- 連立相手や野党との政治的な交渉
- 地方組織との連絡・調整
特に注目されるのが、選挙に関する影響力です。
国政選挙では、どの選挙区に誰を擁立するのか、党の公認を誰に出すのかが政治家の将来を左右します。こうした調整に幹事長が深く関わるため、党内で大きな発言力を持つのです。
また、党の資金や人事に関わることから、議員との関係構築にも重要な役割を果たします。
ただし、幹事長がすべてを単独で決められるわけではありません。党則に定められた承認や各機関との調整を経て職務を進めます。
2.総務会長は党の重要事項を取りまとめる総務会長は、自民党の総務会を招集し、議長として運営する役職です。
総務会は、党の運営や国会活動に関する重要事項を審議・決定する機関です。
自民党の党則では、総務会は25人の総務で構成されると定められています。構成員は衆議院議員、参議院議員、総裁の指名による者などで成り立っています。
総務会長の仕事は、主に次の3つです。
- 総務会の招集と議事進行
- 党内の意見や異論の集約
- 重要事項についての合意形成と決定の取りまとめ
総務会が注目される理由は、党としての最終的な意思決定に深く関わるからです。
たとえば、政府が重要政策を進めようとするとき、党内に賛成意見だけでなく慎重論や反対意見が存在する場合があります。
そのような場面で、意見を整理し、党としての結論をまとめるのが総務会長の役割です。
総務会は単なる報告会ではありません。党則上、重要事項を審議・決定する機関であり、総務会長の議事運営能力が党内の結束を左右することもあります。
3.政務調査会長は政策づくりの中心人物政務調査会長、通称「政調会長」は、自民党の政策立案を統括する役職です。
自民党には政務調査会という組織があり、各政策分野について専門的な調査や議論を行います。
具体的には、次のような分野が対象になります。
- 経済・財政・金融
- 外交・安全保障
- 教育・科学技術
- 医療・年金・社会保障
- 農林水産業
- エネルギー・環境
- 国土交通・地域政策
各分野には部会が設けられ、関係する議員が政策案を検討します。
政調会長は、それらの議論を調整し、党としての政策方針にまとめていきます。
ここで重要なのは、政調会長が政策を一人で決定するわけではないという点です。
自民党の党則では、党が政策として採用する議案は、政務調査会の議を経なければならないと定められています。また、政調審議会などの手続きも設けられています。
つまり、政調会長は政策の方向性を示すだけでなく、党内の専門的な議論を政策として成立させる調整役でもあります。
【党三役の意思決定】自民党では政策や重要事項をどう決める?
党三役の役割を理解するうえで欠かせないのが、党内の意思決定の仕組みです。
自民党では、政策の立案、党内の審議、重要事項の決定を複数の組織が分担しています。
政策決定の基本的な流れ
① 政策課題の発見・検討
各部会や議員による調査・議論
② 政務調査会で政策を立案
政調会長が中心となって政策を調整
③ 政調審議会などで審議
政策案の内容を整理し、党内調整を進める
④ 総務会で審議・決定
総務会長が議事を取りまとめる
⑤ 政府・国会で政策を具体化
政府との調整や法案・予算などの実現へ
重要政策をめぐる党内手続きの概念図。案件によって必要な手続きや調整の順序は異なります。
この流れから分かるのは、政調会長が政策をつくり、総務会長が重要事項の意思決定を取りまとめ、幹事長が党全体の運営や政治的な調整を担うという関係です。
総務会が持つ重要な意味自民党の総務会は、党内の重要事項を審議・決定する常設機関です。
政策を実行するには、政府の判断だけでなく、与党内の合意形成も欠かせません。
特に党内に異なる意見がある政策では、総務会での議論が政治的な意味を持ちます。
総務会長が重視されるのは、単に会議を進行するからではありません。異なる意見を調整し、党として決定できる状態をつくる責任があるためです。
党三役は政府の大臣より偉いのか?ここは誤解しやすい部分です。
党三役は自民党という政党の内部における重要ポストであり、政府の大臣とは役割が異なります。
幹事長が大臣より上位、総務会長が大臣より上位といった法的な序列が定められているわけではありません。
ただし、与党の重要政策や国会運営を左右する立場にあるため、政治的な影響力は非常に大きいものがあります。
【党三役と党四役・総裁の違い】選対委員長はなぜ加わる?
党三役と似た言葉に「党四役」があります。
両者の違いは、選挙対策委員長を含めるかどうかです。
党三役と党四役の比較党三役
1. 幹事長
2. 総務会長
3. 政務調査会長
党四役
1. 幹事長
2. 総務会長
3. 政務調査会長
4. 選挙対策委員長
党四役では、党の選挙戦略を担う選挙対策委員長が加わります。
選挙対策委員長は、候補者選定の準備、選挙方針の立案、選挙情報の分析、党内各部局との調整などを担当します。
選挙が近づくと、党の公認や候補者調整、選挙区ごとの支援体制などが大きな政治課題になります。そのため、選挙対策委員長を党の中枢に位置づける体制が採られてきました。
2007年の福田政権発足時に選挙対策総局長の名称が選挙対策委員長に変更され、党三役と同格の扱いとなりました。その後、野党時代には三役体制に戻った時期もありましたが、第2次安倍政権の発足時に再び選挙対策委員長が格上げされました。
2026年の党四役は誰?2026年11月の自民党では、次の4人が党四役を構成しています。
- 幹事長:鈴木俊一氏
- 総務会長:梶山弘志氏
- 政務調査会長:小林鷹之氏
- 選挙対策委員長:西村康稔氏
2026年9月16日の役員人事でも、鈴木氏、梶山氏、小林氏、西村氏の4人が党四役として紹介されています。
党三役と総裁の違いもう一つ区別しておきたいのが、党三役と総裁の関係です。
総裁は自民党のトップであり、党全体の方針や政治的な方向性を示す立場です。
一方、党三役は総裁を支えながら、それぞれの担当領域を統括します。
| 比較項目 | 総裁 | 党三役 |
|---|---|---|
| 立場 | 党の代表・トップ | 党運営の中核 |
| 主な役割 | 党全体の方針決定と統率 | 党務・意思決定・政策立案 |
| 選出・決定 | 総裁選など党則に基づく公選 | 党内の役員人事・所定の手続き |
| 2026年の人物 | 高市早苗氏 | 鈴木俊一氏、梶山弘志氏、小林鷹之氏 |
総裁は党全体を率いる立場であり、党三役はその方針を党内で具体化していく役割を持ちます。
なお、総裁と総理大臣は同じ意味ではありません。総裁は政党の役職、総理大臣は国の行政を担う内閣の役職です。高市早苗氏のように両方を兼ねる場合もあります。
【党三役の決め方と他党の実態】自民党だけの制度なのか?
「党三役」という言葉は、すべての政党に共通する法律上の正式な役職名ではありません。
政党ごとに組織の構造や意思決定の仕組みが異なるため、三役に該当するポストも変わります。
自民党の党三役はどうやって決まる?自民党の役員人事は、総裁選などによる党のトップの交代や役員任期の満了に合わせて行われます。
実務上は、総裁が新しい執行部の人事を組み立て、党内の調整や党則に基づく手続きを経て決定します。
ただし、3つの役職がすべて同じ方法で選ばれるわけではありません。
自民党の党則では、幹事長は総務会の承認を受けて総裁が決定するとされています。一方、総務会長と副会長は総務会において互選する仕組みです。
総裁自身も、党則に基づく総裁公選規程によって選ばれます。
したがって、党三役は国民が直接投票して選ぶ役職ではなく、党内部の人事・意思決定手続きによって決まるポストです。
他党にも党三役はある?自民党以外にも、幹事長や政務調査会長、総務会長に相当する役職を設けている政党があります。
ただし、必ずしも自民党と同じ3役を党三役と呼ぶわけではありません。
代表的な例を見てみましょう。
日本維新の会
2026年9月16日の吉村洋文代表の会見では、新たな三役として次の3人が紹介されました。
- 幹事長:柴田巧氏
- 政務調査会長:梅村聡氏
- 総務会長:金村龍那氏
自民党と同じ3つの役職を設けており、党運営・政策立案・意思決定を分担する構造が見られます。
立憲民主党
2026年10月28日現在の公式役員名簿では、代表に水岡俊一氏、幹事長に田名部匡代氏、政務調査会長に徳永エリ氏が就いています。
そのほか、選挙対策委員長や常任幹事会議長なども設けられています。
自民党と似た役職名はありますが、組織構成や意思決定の仕組みは同一ではありません。
公明党
2026年の公明党の役員体制では、代表が岡本三成氏、幹事長が西田実仁氏、政務調査会長が中野洋昌氏です。
さらに中央幹事会会長などの役職も置かれています。
このように、幹事長や政調会長に相当する役職は他党にも見られますが、必ずしも自民党式の党三役という呼称や組織構成が採用されているわけではありません。
他党の党三役を理解するときの注意点国立国会図書館のレファレンス協同データベースでも、民主党の党三役について、代表・幹事長・代表代行、あるいは代表・幹事長・政策調査会長など、時期によって異なる構成が紹介されています。
つまり、党三役という言葉は、特定の3つの役職を全国の政党に一律に当てはめるものではありません。
ニュースで他党の「三役人事」という表現が出てきた場合は、まずその政党がどの役職を三役として位置づけているのかを確認する必要があります。
【プロの結論】党三役を見ると政治の意思決定が分かる
党三役を理解する際に最も大切なのは、3人の序列だけでなく、どのような権限を分担しているかを見ることです。
自民党の党三役は、次の3つの機能を分担しています。
- 幹事長:実行と調整。党組織や人事、選挙、国会対応を動かす。
- 総務会長:審議と合意形成。重要事項について党としての意思をまとめる。
- 政調会長:政策立案。専門的な議論を通じて政策を組み立てる。
この3つは独立しているようで、実際には密接につながっています。
たとえば、政府が新しい経済政策を打ち出す場合、政調会長が党内の政策議論をまとめ、総務会で重要事項を審議し、幹事長が党内や国会、連立相手との調整を進めるという関係が生まれます。
政治ニュースを読むときの3つの判断基準1.人事ニュースでは幹事長に注目する
幹事長の交代や続投は、党運営の方針や党内調整の方向性を読み解く手掛かりになります。
2.重要政策では総務会長に注目する
党内の意見が分かれる政策では、総務会でどのような議論が行われ、どう合意形成されたかが重要です。
3.政策発表では政調会長に注目する
経済対策や社会保障、安全保障などの政策について、党としてどのような方向性を示すのかを把握できます。
2026年の高市政権と自民党執行部を見る場合も、この3つの視点を持つことで、単なる役職紹介を超えて政治の動きを理解できます。
【党三役とは】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:党三役とは誰のことですか?
党三役とは、自民党における幹事長・総務会長・政務調査会長の3人を指します。2026年11月5日時点では、鈴木俊一氏、梶山弘志氏、小林鷹之氏です。
Q2:党三役で一番偉いのは誰ですか?
党三役のなかでは、党務全般を統括する幹事長が実務上、特に大きな権限を持つとされています。ただし、総務会長や政調会長にもそれぞれ重要な権限があり、単純な上下関係だけでは説明できません。
Q3:党三役と党四役の違いは何ですか?
党三役は幹事長・総務会長・政務調査会長の3人です。党四役は、これに選挙対策委員長を加えた4人を指します。
Q4:党三役は総裁より上の立場ですか?
いいえ。総裁は党のトップです。党三役は総裁を補佐し、党の運営や政策立案、意思決定を担う立場です。
Q5:党三役はどのように決まりますか?
自民党の役員人事として、総裁を中心に党内調整と党則に基づく手続きを経て決定されます。幹事長については総務会の承認を受けて総裁が決定することが党則に定められています。
Q6:他の政党にも党三役はありますか?
日本維新の会などにも幹事長・政務調査会長・総務会長に相当する役職があります。ただし、党三役の具体的な構成や呼び方は政党によって異なります。
Q7:党三役と大臣はどちらが上ですか?
両者は所属する組織と役割が違うため、単純に比較できません。大臣は政府の行政を担当し、党三役は政党内部の運営や意思決定を担います。
党三役とは、自民党の幹事長・総務会長・政務調査会長を指す呼称です。
2026年11月5日時点では、鈴木俊一幹事長、梶山弘志総務会長、小林鷹之政務調査会長がそれぞれの役職を担っています。
3人の役割を整理すると、次のようになります。
- 鈴木俊一氏:党務全般と政治的な調整
- 梶山弘志氏:党の重要事項の審議と合意形成
- 小林鷹之氏:党の政策立案と政策調整
また、選挙対策委員長を加えた党四役、党全体を率いる総裁との違いも押さえておく必要があります。
党三役は、単に自民党の偉い政治家3人を指す言葉ではありません。党を動かす幹事長、党の意思をまとめる総務会長、政策をつくる政調会長という、異なる機能を担う中枢の役職です。
政治ニュースで党三役の人事や発言が報じられた際には、誰が就任したのかだけでなく、どの分野の権限が動いたのかに注目すると、政権と与党の関係、政策決定の背景まで理解しやすくなります。
主な参考資料
- 自由民主党「自由民主党 役員」
- 自由民主党「新役員共同記者会見」(2026年9月16日)
- 自由民主党「党則・組織規程」
- 国立国会図書館「レファレンス協同データベース」
- 共同通信ニュース用語解説「自民党三役と四役」
- 立憲民主党・公明党・日本維新の会の公式役員情報