2026年、茨城県南部では4月1日のM5.0、6月16日のM5.5、8月23日のM5.9と、最大震度5弱を観測する地震が相次いだ。わずか5か月足らずの間に発生した3回のM5級地震は、震源の深さや発震機構にどのような共通点があるのか。そして、なぜ茨城県南部では繰り返し地震が発生するのだろうか。
気象庁と地震調査研究推進本部の公表資料を照合すると、その背景にはフィリピン海プレートと太平洋プレートが重なり合う関東地方特有の地下構造がある。加えて、9月にもM4.9の地震が2回発生し、10月2日にはM3.9の地震が観測された。2026年11月5日時点で確認できる最新情報をもとに、発生原因、震源の深さ、今後の活動予測、地域で実践したい防災対策を整理する。
【2026年最新】茨城県南部地震で何が起きた?M5級3地震の時系列

2026年の茨城県南部では、春から夏にかけて規模の大きな地震が3回発生した。いずれも気象庁が震源を茨城県南部と発表した地震であり、マグニチュードは5.0以上、最大震度は5弱だった。
最初の地震は4月1日10時06分に発生した。マグニチュードは5.0、震源の深さは48km。栃木県真岡市で最大震度5弱を観測した。茨城県南部を震源とする地震であっても、最大の揺れが隣接県で観測されることを示した事例だ。
続く6月16日19時46分には、M5.5、深さ50kmの地震が発生。群馬県太田市、千代田町、埼玉県加須市、本庄市、美里町の計5市町で震度5弱を観測した。
そして8月23日午前2時、M5.9の地震が発生した。震源の深さは当初の速報値約70kmから68kmに更新され、茨城・埼玉・千葉・東京の計17市区町村で震度5弱を観測した。気象庁によると、この地震では埼玉県南部、千葉県北西部、東京都23区で長周期地震動階級2も観測されている。
8月の地震については、気象庁の9月8日公表資料で、総務省消防庁による被害集計として負傷者38人などの被害が報告された。単に一時的な揺れにとどまらず、都市部の生活や安全にも影響を及ぼした地震だった。
2026年9月以降の活動も見逃せない。気象庁の9月分の地震・火山月報では、9月17日にM4.9、9月29日にM4.9の地震が記録されている。さらに10月2日にはM3.9、最大震度2の地震も発生した。
主要な地震とその後の動きを整理すると、次のようになる。
| 発生日 | 規模・深さ | 最大震度 | 発震機構・特徴 |
|---|---|---|---|
| 2026年4月1日 | M5.0・48km | 5弱 | 逆断層型。フィリピン海プレートと陸のプレートの境界 |
| 2026年6月16日 | M5.5・50km | 5弱 | 逆断層型。同プレート境界で発生 |
| 2026年8月23日 | M5.9・68km | 5弱 | 逆断層型。太平洋プレートとフィリピン海プレートの境界 |
| 2026年9月17日 | M4.9・67km | 3 | 横ずれ断層型。太平洋プレート内部 |
| 2026年9月29日 | M4.9・46km | 4 | 逆断層型。フィリピン海プレートと陸のプレートの境界 |
| 2026年10月2日 | M3.9・50km | 2 | 茨城県南部を震源とする地震 |
出典は気象庁の各地震に関する報道発表、発震機構解、2026年9月の地震・火山月報、および地震調査研究推進本部の年間評価資料である。なお、マグニチュードや震源の深さは発表段階によって更新される場合がある。
【なぜ繰り返し発生する?】茨城県南部地震の原因とプレート境界の仕組み
茨城県南部で地震が繰り返される最大の背景は、関東地方の地下構造の複雑さにある。
日本列島の周辺では、太平洋プレートとフィリピン海プレートという海洋プレートが、陸側のプレートの下へ沈み込んでいる。関東地方では、この2つの海洋プレートが陸側のプレートの下に重なるように存在するため、地下には複雑な力が作用している。
プレートの動きが地下にひずみを蓄積させるプレートは長い時間をかけて移動している。接触する部分では摩擦によって動きが妨げられることがあり、その周辺には徐々にひずみが蓄積する。
蓄積したひずみが岩盤の強度を超えると、断層やプレート境界の一部が急激にずれ、地震波が発生する。これがプレート運動に関連した地震の基本的な仕組みだ。
2026年の3回の主要地震について、地震調査研究推進本部は次のように評価している。
- 4月1日:フィリピン海プレートと陸のプレートの境界で発生した逆断層型。
- 6月16日:同じくフィリピン海プレートと陸のプレートの境界で発生した逆断層型。
- 8月23日:太平洋プレートとフィリピン海プレートの境界で発生した逆断層型。
ここで重要なのは、3回とも同じ境界で発生したわけではないという点だ。特に8月の地震は、4月・6月の地震とは異なるプレート境界が発生場所と評価されている。
茨城県南西部はもともと地震活動が活発な地域地震調査研究推進本部の「茨城県の地震活動の特徴」では、県南西部の深さ30〜50km程度のやや深い場所と、50〜70km程度の深い場所で、地震活動が定常的に活発だと説明されている。
過去の主な地震を振り返っても、1895年の霞ケ浦付近の地震(M7.2)、1921年の竜ケ崎付近の地震(M7.0)、1930年の那珂川下流域の地震(M6.5)、1983年の茨城県南部の地震(M6.0)、2005年の茨城県南部の地震(M5.3)などが記録されている。
同本部によれば、最近数十年間ではM7程度の地震は知られていない一方、M5〜6程度の地震は数年に1回の割合で発生している。
つまり、2026年の地震活動は、まったく新しい地質現象が突然始まったというより、もともと地震が発生しやすい地域で複数のプレートに関連する地震が続いたものとして理解する必要がある。
【震源地と深さを検証】M5.9の発震機構と最大震度5弱の意味
茨城県南部地震を理解する際には、震源地、震源の深さ、発震機構、震度を区別することが欠かせない。
震源の深さは48〜68km2026年の主要3地震の震源の深さは、4月が48km、6月が50km、8月が68kmだった。いずれも地表付近の浅い断層で起きた地震とは異なり、地下深部のプレートに関連した活動として説明されている。
とりわけ8月23日の地震は、深さ68kmという震源位置と発震機構の解析から、太平洋プレートとフィリピン海プレートの境界で発生したと評価された。
逆断層型とは何か逆断層型とは、岩盤に圧縮する力が加わり、断層の一方が他方に対して上方向へ動くタイプの地震である。
今回の主要3地震はいずれも逆断層型だった。ただし、圧力軸の方向や断層面の角度などには違いがある。気象庁の発震機構解は、地震波の観測結果から地下でどのような方向に力が働き、どのように岩盤が動いたかを推定するための資料だ。
9月17日のM4.9では横ずれ断層型が確認され、太平洋プレート内部で発生したとされた。9月29日のM4.9では逆断層型が確認され、フィリピン海プレートと陸のプレートの境界で発生したと評価されている。
この違いからも、茨城県南部という同じ震央地域であっても、地震の発生メカニズムが一様ではないことが分かる。
最大震度5弱とマグニチュードは別の指標マグニチュードは地震そのものの規模を表す指標であり、震度は特定の場所で実際に観測された揺れの強さを表す。
そのため、同じマグニチュードの地震でも、震源の深さ、震源からの距離、地盤の性質などによって各地の震度は異なる。
2026年4月の地震では栃木県真岡市、6月は群馬県と埼玉県の計5市町、8月は茨城県・埼玉県・千葉県・東京都の計17市区町村で最大震度5弱が観測された。
「茨城県南部が震源だから、茨城県だけが最も強く揺れる」という理解は正しくない。周辺県も含めて広域的な防災対策を考える必要がある。
【今後の地震活動と発生確率】大きな地震は再び起きるのか
2026年にM5級の地震が3回発生したことで、今後さらに大きな地震が発生するのではないかと心配する人もいるだろう。
実際、茨城県南部は以前から地震活動が活発な地域であり、今後も地震が発生する可能性はある。しかし、M5級の地震が短期間に複数回発生したという事実だけで、次の地震がM6やM7に拡大すると判断することはできない。
2026年の活動から読み取れること9月17日と29日のM4.9は、震源の深さも発震機構も異なっていた。10月2日にもM3.9の地震が観測されている。
気象庁の9月分の地震・火山月報では、9月17日の震源付近について、1997年10月以降の観測でM4.0以上の地震が時々発生しており、2011年の東北地方太平洋沖地震以降は活動がより活発になったと説明されている。
また、9月29日の震源付近では、1997年10月以降にM5.0以上の地震が時々発生している。1919年以降の記録を見ても、茨城県南部の周辺ではM6.0以上の地震が確認されている。
こうしたデータは、地域全体の地震活動を長期的に監視する必要性を示している。ただし、個々の地震が一連の連鎖的な活動なのか、別々の地下構造で起きた地震なのかは、震源位置や発震機構、観測データを踏まえて評価する必要がある。
茨城県南部地震に固有の発生確率はあるのか地震調査研究推進本部は、活断層や海溝型地震などについて、過去の地震記録や地質調査をもとに長期評価を公表している。
ただし、「茨城県南部地震」という震央地域名そのものに対して、2026年11月5日現在、次のM5級地震が30年以内に何%の確率で発生するという単一の数字を、そのまま当てはめることはできない。
例えば、地震本部の関東地方の長期評価には、茨城県沖で発生するM7.0〜7.5程度の地震について30年以内の発生確率が80%程度と示されている。しかし、これは海域のプレート境界で発生する別の地震区分であり、今回の茨城県南部の内陸側のM5級地震の発生確率ではない。
異なる震源域の確率を混同すると、実際のリスクを誤って理解することにつながる。
地震予測と直後の注意情報は区別する気象庁は、地震の発生日時、場所、規模を精度よく特定する短期的な予測は、現在の科学的知見では難しいとしている。地震調査研究推進本部も、地震の発生日時や規模を正確に予測することはできないと説明している。
一方、地震発生直後の注意情報には具体的な意味がある。
2026年4月、6月、8月の各地震について、気象庁は過去の事例から、同程度の地震が発生した割合は1〜2割あるとして、揺れの強かった地域に対し、発生から1週間程度は最大震度5弱程度の地震に注意するよう呼びかけた。特に最初の2〜3日程度は規模の大きな地震が発生することが多いと説明している。
これは発生日時を指定した予言ではなく、過去の統計に基づく短期的な警戒の目安だ。8月23日の地震に対する当初の1週間の注意期間はすでに経過しているが、地域の地震リスクそのものがなくなったわけではない。
【茨城県南部の防災対策】ハザードマップと自宅で確認したい備え
地震がいつ起きるか分からない以上、被害を軽減するための現実的な方法は、日常生活の中で備えを整えることだ。
茨城県南部では、震源が同じ地域でも市町村ごとに揺れ方や地盤条件が異なる。自宅周辺の危険性を把握するには、自治体が公開するハザードマップを確認したい。
ハザードマップで確認すべき4つの項目- 地震による揺れやすさ:想定震度や地盤の特徴を確認する。
- 液状化の危険性:河川沿いや低地、埋立地などの地盤条件を調べる。
- 土砂災害の危険性:崖や斜面の近くに住んでいる場合は、土砂災害警戒区域を確認する。
- 避難場所と避難経路:指定避難所までの経路、複数の移動ルート、家族との集合場所を決める。
茨城県の防災・危機管理ポータルサイトでは、地震情報、避難情報、土砂災害警戒情報などを確認できる。また、いばらきデジタルマップでは県や市町村が保有する地図情報が公開されている。
ただし、避難場所や想定される被害は自治体によって異なる。つくば市、土浦市、古河市、筑西市、守谷市など、実際に生活している市町村の最新の防災資料も確認しておきたい。
家庭で優先したい地震対策- 家具の転倒防止:タンス、本棚、食器棚などを固定し、寝室には倒れやすい家具を置かない。
- ガラス対策:窓や食器棚に飛散防止フィルムを貼り、破片から足を守るスリッパを準備する。
- 飲料水と食料:最低3日分を目安に、可能であれば1週間程度の備蓄を検討する。
- 停電対策:懐中電灯、モバイルバッテリー、乾電池、携帯ラジオを用意する。
- トイレ対策:断水や下水設備の停止に備えて携帯トイレを備蓄する。
- 家族の連絡方法:災害用伝言ダイヤル171や災害用伝言板の利用方法を共有する。
地震が発生したら、まず自分の身を守る。屋内では丈夫な机の下などに入り、頭を保護して揺れが収まるまで待つ。窓ガラスや棚から離れ、無理に屋外へ飛び出さないことも大切だ。
揺れが収まった後は、火災、ガス漏れ、建物の損傷、落下物などを確認する。エレベーターは使用せず、避難が必要な場合は階段を使う。
また、震度5弱程度の揺れを経験した建物では、壁や外壁、家具の固定部分などに異常がないか確認したい。目に見えない部分にも損傷が生じている可能性があるため、異常があれば専門家や管理者に相談することが望ましい。
【よくある誤解】茨城県南部地震について知っておきたい判断基準
2026年の地震活動をめぐっては、短期間に複数回発生したことから、さまざまな疑問が生じている。ここでは、特に混同されやすいポイントを整理する。
3回のM5級地震は同じ断層が動いた結果なのか必ずしもそうではない。4月と6月はフィリピン海プレートと陸のプレートの境界、8月は太平洋プレートとフィリピン海プレートの境界で発生したと評価されている。9月17日には太平洋プレート内部で横ずれ断層型の地震も発生した。震央名が同じでも、発生した場所や地下の仕組みは異なる。
M5級の地震が3回起きたら、次はM7級になるのかそのような規則性は確認されていない。過去の地震活動やプレートの状態を調査することで長期的なリスクを評価することはできるが、M5級の地震が続いたことだけから、次の地震の規模を決めることはできない。
震度5弱なら、すべての地域で同じ被害が出るのか同じ震度でも建物の耐震性、地盤、建物の階数、家具の配置などによって被害は変わる。震度情報だけで自宅の安全性を判断せず、建物の状態や周辺環境も確認する必要がある。
【茨城県南部地震】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:2026年の茨城県南部地震で最大震度はいくつでしたか?
2026年4月1日、6月16日、8月23日の主要3地震はいずれも最大震度5弱でした。4月は栃木県真岡市、6月は群馬県・埼玉県の計5市町、8月は茨城県・埼玉県・千葉県・東京都の計17市区町村で観測されました。
Q2:茨城県南部地震の震源の深さはどれくらいですか?
2026年の主要3地震では、4月1日が48km、6月16日が50km、8月23日が68kmでした。いずれも地下深部で発生しており、プレート境界などの活動と関係しています。
Q3:茨城県南部地震は今後も発生しますか?
茨城県南部は以前から地震活動が活発な地域であり、今後も地震が発生する可能性はあります。ただし、次の発生日時や規模を正確に予測することはできません。気象庁の地震情報と自治体の防災情報を確認し、日常的な備えを続けてください。
2026年の茨城県南部では、4月1日のM5.0、6月16日のM5.5、8月23日のM5.9と、最大震度5弱を観測する地震が3回発生した。さらに9月にはM4.9の地震が2回、10月2日にはM3.9の地震も観測されている。
その背景には、フィリピン海プレートや太平洋プレートが重なり合う関東地方特有の地下構造がある。過去の記録でも茨城県南西部は地震活動が活発であり、M5〜6程度の地震が数年に1回発生してきた地域だ。
ただし、2026年の3回のM5級地震を、同じ断層が連続して動いた結果と単純化することはできない。発震機構や震源の深さを比較すると、それぞれ異なるプレート境界やプレート内部の活動が関係している。
今後の地震発生を正確な日付や規模で予測することは、現在の科学では難しい。だからこそ、地震調査研究推進本部の長期評価、気象庁の地震情報、自治体のハザードマップをそれぞれの目的に応じて活用することが大切だ。
茨城県南部に暮らす人だけでなく、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都など周辺地域で生活する人も、家具の固定、備蓄、避難経路の確認を進めておきたい。2026年の一連の地震が示しているのは、地震の発生を待って対策するのではなく、揺れがない日から備えておく必要性である。