追肥(ついひ)とは、野菜や植物が育っている途中で、不足する養分を補うために追加で肥料を与える作業です。植え付け前に施す「元肥(もとごえ)」だけでは、生育期間の長い野菜が必要とする養分を最後まで確保できない場合があります。そこで、生育状況や野菜の種類に合わせて肥料を補給し、葉や茎、根、果実の健全な成長を支えます。
ただし、追肥は多く与えればよいわけではありません。適切な時期を逃したり、肥料の量や濃度を間違えたりすると、肥料焼けによって根や葉が傷み、かえって収穫量や品質が低下することもあります。2026年現在の農業指導資料やJA、種苗会社の栽培情報を踏まえ、追肥と元肥の違い、肥料の三要素、野菜別のタイミング、化成肥料と有機肥料の選び方、液体肥料の使い方まで、家庭菜園でも実践できる形で解説します。
【基本知識】追肥とは?元肥との違いと施す目的をわかりやすく解説

追肥とは、植物を植え付けたり種をまいたりした後、生育途中で追加する肥料のことです。「ついひ」と読むほか、「おいごえ」という呼び方もあります。
野菜は成長するにつれて、葉や茎を大きくしたり、花を咲かせたり、実や根を充実させたりするために多くの養分を必要とします。土の中にある養分だけでは不足することがあり、最初に与えた肥料も植物に吸収されたり、雨や水やりによって流出したりします。
そこで、生育の途中に必要な栄養を補給するのが追肥です。主な目的は次のとおりです。
- 生育途中の肥料不足を防ぐ。
- 葉や茎の健全な成長を促す。
- 開花や結実に必要な養分を補う。
- 収穫期間の長い野菜の生育を維持する。
- 収穫量や品質の安定につなげる。
特にナス、キュウリ、ピーマンなどは、収穫期間中も次々に花を咲かせ、実をつけます。生育と収穫が続くため、元肥だけでは養分が不足しやすく、適切な追肥が栽培管理の要点になります。
追肥と元肥の違い元肥と追肥は、どちらも植物に栄養を供給するための肥料ですが、大きな違いは施すタイミングと目的です。
元肥は植物の生育の土台をつくる肥料、追肥は成長に合わせて不足分を補う肥料と考えると理解しやすくなります。
- 元肥:種まきや苗の植え付け前に土へ施す。初期生育を支え、その後の成長に必要な養分を供給する。
- 追肥:植え付け後の生育途中に施す。植物の成長や収穫に合わせて不足する養分を補う。
元肥には、長期間にわたってゆっくり効く緩効性肥料や有機質肥料がよく使われます。一方、追肥には、必要なタイミングで養分を補給しやすい速効性の化成肥料や液体肥料がよく利用されます。
ただし、これは一般的な使い分けです。被覆肥料のように長期間効果が続く化学肥料もあれば、比較的速く効く有機質肥料もあります。肥料の分類だけで効き方を決めつけず、製品の肥効期間を確認することが大切です。
【実践ガイド】追肥をする時期と適切なタイミングは?肥料の三要素も解説
追肥はいつから始めるべき?追肥を始める時期に、すべての野菜に共通する決まりはありません。作物の生育期間、養分の吸収特性、土壌の状態、元肥の種類などによって変わります。
一般的な化成肥料を元肥に使った場合、3週間から1か月程度を追肥の検討時期とする栽培情報もあります。ただし、これは一律に施肥するという意味ではありません。元肥に一発肥料や長期間効く緩効性肥料を使っている場合は、追加の追肥が不要なこともあります。
判断するときは、次のようなポイントを確認します。
- 葉の色が以前より薄くなっていないか。
- 新しい葉や茎の成長が鈍っていないか。
- 開花や結実が始まっているか。
- 実を収穫する量が増えているか。
- 元肥の肥効期間が終わりに近づいていないか。
ただし、葉が黄色くなったり成長が止まったりする原因は、肥料不足だけではありません。水不足、根腐れ、病害虫、日照不足などでも似た症状が現れます。症状だけで肥料不足と判断せず、栽培環境も確認してください。
肥料の三要素である窒素・リン酸・カリの役割追肥を理解するうえで欠かせないのが、肥料の三要素です。植物の生育に必要な主要な栄養成分である窒素(N)、リン酸(P)、カリウム(K)の3つを指します。
- 窒素(N):葉や茎の成長を促し、植物の体を大きくする働きがある。葉物野菜などで特に重要な成分。
- リン酸(P):根の発育や開花、結実に関係する。花や実をつける野菜の生育を支える。
- カリ(K):根の発育や植物体内の水分調節などに関わり、植物全体の健全な生育を支える。
例えば、葉を大きく育てたいからといって窒素ばかりを増やすと、葉や茎が過剰に成長し、花や実の付き方に悪影響が出ることがあります。反対に、実を収穫する野菜でも、窒素が不足すれば株全体の生育が弱くなります。
大切なのは、野菜の種類と生育段階に合った三要素のバランスを保つことです。
肥料袋の「8-8-8」「10-10-10」の意味市販の化成肥料には「8-8-8」や「10-10-10」などの数字が表示されています。これは、窒素・リン酸・カリの保証成分量を重量割合で示したものです。
例えば、8-8-8の肥料は、窒素、りん酸、加里をそれぞれ8%含んでいます。100g使用した場合、それぞれの保証成分量は8gです。
数字が大きい肥料ほど少量で多くの成分を供給できますが、必ずしも優れているわけではありません。野菜の種類や土壌の状態に合わない肥料を選ぶと、特定の成分が過剰になる可能性があります。
2026年3月には、愛知県が「農作物の施肥基準」を改定し、野菜を含む作物別の施肥基準や土壌診断基準を公開しています。農林水産省も各都道府県の施肥基準を紹介しており、地域の栽培条件に合わせた施肥量の確認を推奨しています。
【野菜別一覧】追肥のタイミング・頻度・回数の目安を比較
追肥のタイミングは、野菜がどの生育段階で養分を多く必要とするかによって異なります。生育初期に養分を多く吸収する野菜もあれば、収穫期まで継続して養分を必要とする野菜もあります。
代表的な野菜の追肥時期を整理すると、次のようになります。
| 野菜の種類 | 追肥を始める目安 | その後の頻度・注意点 |
|---|---|---|
| ナス | 植え付け約3週間後 | 約3週間おきを目安に、生育と収穫量に応じて継続する。 |
| キュウリ | 植え付け後約2週間〜1か月 | 収穫開始後も少量ずつ補給し、肥料切れを防ぐ。 |
| ピーマン | 植え付け約2週間後 | 生育期間が長いため、その後も定期的に施す。 |
| トマト | 最初の実が大きくなり始めた頃 | 着果や株の勢いを見ながら施し、窒素過多に注意する。 |
| スイカ・カボチャ | 着果して実が肥大し始めた頃 | 初期の窒素過多を避け、実の成長に合わせて調整する。 |
| ホウレンソウ・小松菜 | 基本的には元肥主体 | 短期間で収穫する作型では追肥不要の場合もある。 |
| ダイコン・ゴボウ | 間引き後から生育中期以降 | 根の成長に合わせて調整し、株元への過剰な施肥を避ける。 |
| キャベツ・ハクサイ | 活着後や葉が大きく育ち始める頃 | 結球の進み具合を確認しながら追肥する。 |
ナス、キュウリ、ピーマンは、収穫期間が長く、次々に実をつける果菜類です。実を育てるために養分を使い続けるため、肥料切れを防ぐ管理が欠かせません。
ナスについては、サカタのタネが、植え付けから約3週間後に最初の追肥を行い、その後は約3週間おきに施す方法を紹介しています。化成肥料の施用量は30〜50g/㎡が一例として示されていますが、使用する製品や土壌条件によって調整が必要です。
花の状態も判断材料になります。花が大きく色が濃く、雌しべが雄しべより長い場合は、株が比較的健全に育っている目安です。反対に花が小さく、雌しべが短い場合は、肥料不足などによって株の勢いが弱まっている可能性があります。
キュウリも収穫が続く野菜です。果実が次々に大きくなるため、葉色やつるの勢い、収穫量を観察しながら追肥を続けます。
トマト・スイカ・カボチャは早すぎる追肥に注意トマトやスイカ、カボチャは、植え付け直後から窒素を多く与えすぎると、葉や茎ばかりが茂ってしまうことがあります。これをつるぼけや過繁茂につながる状態として注意する必要があります。
JA埼玉中央の家庭菜園向け資料では、トマトやスイカなどは最初の実が着き、ゴルフボール大以上に肥大するのを確認してから追肥する方法が紹介されています。
株の勢いが十分にある場合は、予定日だからと機械的に肥料を与える必要はありません。着果状況や葉色、実の成長を見ながら判断します。
葉物野菜や根菜類は元肥とのバランスが重要ホウレンソウや小松菜など、比較的短期間で収穫する葉物野菜は、元肥だけで育つ場合があります。栽培期間が短いのに追肥を繰り返すと、肥料が過剰になることもあるため注意してください。
一方、キャベツやハクサイなどは、葉が大きくなり結球する段階で養分を必要とします。生育段階に合わせて追肥することで、株の成長を支えられます。
ダイコンやゴボウなどの根菜類では、根の発達と肥料の吸収時期を考慮します。元肥の量を抑え、成長の途中から必要に応じて追肥する方法もあります。ただし、根の直下に肥料を集中させると、根の形や品質に悪影響を及ぼす場合があります。
野菜別の追肥時期は、品種、地域、露地・プランターなどの栽培方法によっても変わります。表の時期は一般的な目安として利用し、実際には地域のJAや種苗会社が公開する栽培暦を確認してください。
【肥料の選び方】化成肥料・有機肥料・液体肥料の違いと使い方
化成肥料は速効性と使いやすさが特徴化成肥料は、肥料原料に化学的な加工を施して製造した肥料です。窒素・リン酸・カリのうち複数の成分を含む製品が多く、成分量が数値で表示されているため、施肥量を管理しやすい特徴があります。
一般的な速効性の化成肥料は、土壌中で溶けて植物に吸収されやすいため、追肥に適しています。
主なメリットは次のとおりです。
- 必要な養分を比較的早く補給できる。
- 成分量が明確で施肥計画を立てやすい。
- 粒状タイプは散布しやすい。
- 臭いが比較的少ない製品が多い。
ただし、速く効くからといって多く与えてよいわけではありません。成分濃度が高い肥料を大量に施すと、肥料焼けを起こすリスクがあります。
有機肥料はゆっくり効くものが多い有機肥料は、植物や動物に由来する有機物を原料とする肥料です。代表的なものには、油かす、魚かす、骨粉、鶏ふんなどがあります。
有機質肥料は、土壌中の微生物による分解を経て養分が供給されるものが多く、化成肥料と比べて効き方が緩やかな傾向があります。土壌中の有機物を増やすことにもつながります。
一方で、原料や発酵の状態によって肥効は異なります。未発酵の有機質肥料は、分解時に熱やガスが発生して根を傷める場合があるため、生育中の株元に大量に施すのは避けてください。
化成肥料と有機肥料はどちらを選ぶべき?どちらが絶対に優れているというものではありません。目的に応じて使い分けることが基本です。
- すぐに養分を補いたい:速効性の化成肥料。
- 土づくりも意識したい:完熟堆肥や適切な有機質肥料。
- 肥効を調節したい:被覆肥料や緩効性肥料。
- 水やりと同時に追肥したい:液体肥料。
特に家庭菜園では、化成肥料と有機質肥料を組み合わせる方法もあります。ただし、両方を使う場合は、含まれる窒素・リン酸・カリの合計量を確認してください。有機肥料を追加した分だけ、化成肥料の量を見直す必要がある場合もあります。
液体肥料の使い方と注意点液体肥料(液肥)は、水に溶かした状態で植物に与える肥料です。速効性がある製品が多く、プランターや家庭菜園でも使いやすい特徴があります。
主な使い方は、次の手順です。
- 製品表示を確認する:対象の野菜や植物に使用できるか、希釈倍率や施用頻度を確認する。
- 規定の倍率で薄める:水と液肥を正確に計量し、指定された濃度に調整する。
- 土の状態を確認する:極端に乾燥している場合は、先に水分を補給するなど適切な状態に整える。
- 株の周囲に与える:製品の指示に従い、根が養分を吸収できる範囲の土に施す。
- 次回の施用時期を管理する:製品の使用間隔と植物の生育状態を確認する。
液肥は製品によって希釈倍率が異なります。原液をそのまま使用したり、早く効かせようとして濃度を高くしたりするのは危険です。
また、葉面散布用として使う場合は、土壌に与える液肥とは使用方法が異なります。葉に散布できる製品かどうかを確認し、高温時や強い日差しの下での散布は避けましょう。
液肥は即効性がある反面、肥効が長く続かない製品もあります。収穫期間の長いナスなどでは、製品の使用間隔に合わせて繰り返し施す必要があります。
【失敗しない方法】追肥の適切な量・やり方と基本の手順
追肥の量は野菜と肥料の種類によって異なる追肥の量を決める際に注意したいのが、すべての野菜に共通する標準量は存在しないという点です。
同じ野菜でも、栽培期間や品種、土壌の肥沃度、元肥の量、肥料の成分濃度によって必要量は異なります。
例えば、サカタのタネが紹介するナスの栽培例では、化成肥料30〜50g/㎡を最初の追肥量の目安としています。しかし、この数字をトマトやキュウリ、ほかの製品にそのまま当てはめることはできません。
適切な施肥量を決めるには、次の3点を確認します。
- 肥料の保証成分量:窒素・リン酸・カリが何%含まれているか。
- 対象作物の施肥基準:その野菜に必要な養分量と施肥時期。
- 土壌の養分状態:すでに肥料成分が十分に含まれていないか。
農林水産省は都道府県ごとの施肥基準や土壌診断基準を公開しています。家庭菜園でも、地域の基準を参考にすると、過不足の少ない施肥計画を立てやすくなります。
追肥の基本的なやり方と手順追肥は肥料を株元に置くだけではありません。植物の根が伸びている位置を考慮し、根が養分を吸収しやすい場所に施すことが大切です。
基本的な手順は次のとおりです。
- 生育状態を確認する:葉色、茎の太さ、新芽、花や実の状態を確認する。
- 肥料の種類を決める:不足している養分や作物の生育段階に合わせて選ぶ。
- 施肥量を計量する:製品表示や栽培基準に従い、必要量を正確に量る。
- 株元から少し離して施す:根の先端付近を意識し、肥料が茎や根に直接触れないようにする。
- 軽く土をかぶせる:粒状肥料の場合は、浅い溝に施して土を戻す方法もある。
- 必要に応じて水を与える:製品の指示に従って水やりを行い、肥料成分を土になじませる。
追肥を施す場所は、植物の根の広がりに合わせて決めます。タキイ種苗の栽培情報では、根群の先端付近が効率よく養分を吸収できる位置として紹介されています。
株が大きくなるにつれて根も広がるため、毎回同じ株元に肥料を集中させる必要はありません。葉やつるの広がりを目安に、株から少し離した場所へ施すとよいでしょう。
プランターとマルチ栽培ではどうする?プランター栽培では、限られた土の中で植物を育てるため、肥料濃度が高くなりやすい点に注意が必要です。規定量を守り、少量ずつ管理してください。
固形肥料は、茎のすぐ近くではなく、根が広がっている範囲の土に置きます。液肥は製品表示の希釈倍率と使用間隔を守り、水やりの管理と組み合わせます。
マルチ栽培の場合は、マルチの裾をめくる、必要な場所に施肥用の穴を設けるなどの方法があります。穴肥や溝肥を行った場合は、肥料を施した後に適切に水を与え、肥料成分を土になじませます。
追肥の頻度と回数はどのくらい?追肥の回数も、野菜によって違います。収穫期間の短い葉物野菜なら追肥なしで収穫できる場合がありますが、ナスやキュウリなどは複数回の追肥が必要になることがあります。
一般的な化成肥料を使用する場合、3週間〜1か月程度の間隔を参考にする栽培情報もあります。しかし、これはあくまで一例です。
JA西春日井の家庭菜園向け情報では、ナスやキュウリ、トマト、ピーマンなどは生育期間中に継続して養分を吸収するため、少量ずつ回数を分けて与える管理が紹介されています。
反対に、ホウレンソウやジャガイモ、サツマイモなど、生育初期に養分を多く吸収する野菜は元肥主体で育て、追肥を控えめにする場合があります。
つまり、追肥は決まった回数を機械的に繰り返す作業ではありません。植物の生育状況と肥料の効果が続く期間を考えながら調整することが基本です。
【要注意】追肥の与えすぎによるデメリットと肥料焼けの原因・対策
肥料焼けとは?根や葉に起こる生育障害肥料焼けとは、肥料を過剰に与えたり、濃度や施肥方法を間違えたりすることで、植物の根や葉が傷む現象です。
特に、肥料成分が土壌中に高濃度で存在すると、浸透圧の影響によって根が水分を吸収しにくくなったり、根の内部から水分が失われたりすることがあります。
肥料焼けで見られる代表的な症状は次のとおりです。
- 十分に水があるのに葉がしおれる。
- 葉先や葉の縁が茶色く変色する。
- 新芽や若い葉の成長が止まる。
- 根が傷み、植物全体の生育が鈍る。
- 症状が進むと株全体が枯れる。
ただし、これらは水不足や根腐れ、病害虫などでも発生します。追肥の直後に症状が現れた場合は、施肥量や肥料の濃度、肥料を置いた場所を確認が必要です。
肥料を与えすぎると起こる4つのデメリット追肥のやりすぎには、単に肥料を無駄にする以上の問題があります。
1. 根が傷んで水分を吸収できなくなる
肥料成分が過剰に集中すると、根の周囲の塩類濃度が高くなり、水分の吸収が妨げられます。特に、速効性肥料を一度に大量に与えた場合や、土が乾燥している場合には注意が必要です。
2. 葉や茎ばかりが成長する
窒素が多すぎると、葉や茎の成長が過剰になることがあります。トマトなどでは、葉ばかりが茂って花や実の付き方が悪くなることもあります。
3. 病害虫の被害を受けやすくなる
過剰な施肥によって植物が軟弱に育つと、病害虫への抵抗性や環境への耐性が低下する場合があります。農林水産省も、過剰施肥が農作物の健全な生育を妨げ、病害虫の発生を助長する可能性を指摘しています。
4. 土壌や周辺環境に負担をかける
植物に吸収されなかった肥料成分は、土壌中に蓄積したり、雨水などによって流出したりすることがあります。農地では、過剰な窒素やリンなどが水環境への負荷につながる問題もあります。
肥料焼けを防ぐための5つの対策肥料焼けを防ぐには、施肥前の確認と正しい施肥方法が欠かせません。
- 規定量を守る:肥料袋に記載された使用量を超えない。
- 株元に集中させない:根や茎に直接肥料が触れないようにする。
- 乾燥した土への施肥に注意する:土壌水分を確認し、極端に乾いた状態で濃い肥料を与えない。
- 液肥の濃度を守る:希釈倍率を勝手に変更しない。
- 元肥との合計量を確認する:すでに土に含まれている養分も考慮する。
追肥の直後に肥料焼けが疑われる症状が出た場合は、まず追加の施肥を中止します。
プランターの場合、排水性が確保されていて、根腐れや過湿の心配がなければ、水を十分に流して土の中に残った肥料成分を減らす方法があります。ただし、すでに土が過湿になっている場合は、さらに水を与え続けないでください。
畑の場合は、追加施肥を止め、土壌水分や排水状態、施肥量を確認します。土壌分析を行うことで、どの成分が過剰になっているのかを把握しやすくなります。
葉先が傷んだ部分は元に戻らないこともありますが、根が健全であれば、その後の管理によって新しい葉が正常に育つ可能性があります。焦って別の肥料や活力剤を追加せず、まず根の状態と栽培環境を整えましょう。
【プロの結論】追肥で失敗しない人が実践している判断基準追肥の成否を左右するのは、肥料の種類やブランドだけではありません。植物が必要としている時期に、必要な成分を、必要な量だけ供給できるかどうかです。
家庭菜園で追肥を上手に管理するためには、次の3つを基本にしてください。
- 生育を観察する:葉色、花の状態、実の成長、収穫量などから植物の状態を判断する。
- 施肥記録を残す:肥料の種類、使用量、施肥日を記録し、肥料の与えすぎを防ぐ。
- 土壌の状態を確認する:元肥や堆肥に含まれる養分も考慮し、必要に応じて土壌診断を行う。
特に、毎年同じ場所で野菜を育てている場合は、肥料成分が土壌に蓄積している可能性があります。肥料不足だと思って追加した結果、実際には特定の成分が過剰だったというケースも考えられます。
2026年の農林水産省の施肥指導でも、都道府県の施肥基準と土壌診断を組み合わせ、必要に応じて施肥量を見直すことが推奨されています。家庭菜園でも、こうした考え方を取り入れることが、長く安定して野菜を育てる近道です。
追肥とは?に関するよくある質問(FAQ)
Q1:追肥とは簡単にいうと何ですか?
A1:追肥とは、野菜や植物が育っている途中で、不足する養分を補うために追加で与える肥料のことです。元肥で補いきれない養分を、生育状況に合わせて補給する目的があります。
Q2:追肥は元肥と同じ肥料を使ってもよいですか?
A2:製品が追肥にも使用できるものであれば、同じ肥料を使える場合があります。ただし、元肥向けの緩効性肥料や未発酵の有機質肥料などは、追肥に適さない場合もあります。使用目的と施用方法を製品表示で確認してください。
Q3:追肥は何日おきに与えるのが正解ですか?
A3:野菜や肥料によって異なります。一般的な化成肥料では3週間〜1か月程度を目安にする栽培例がありますが、ナスやキュウリなどは生育と収穫状況に応じて複数回施します。短期間で収穫する葉物野菜では追肥が不要な場合もあります。
Q4:追肥は株元に直接まいても大丈夫ですか?
A4:株元に肥料を集中させる方法はおすすめできません。肥料が根や茎に直接触れると、肥料焼けを起こす可能性があります。根が広がっている範囲を考え、株元から少し離して施してください。
Q5:追肥には化成肥料と有機肥料のどちらがよいですか?
A5:すぐに養分を補給したい場合は速効性の化成肥料、土づくりも意識したい場合は有機質肥料が選択肢になります。ただし、有機肥料でも種類や発酵状態によって効き方は異なります。野菜の生育段階と肥料の特性に合わせて選ぶことが大切です。
Q6:追肥を忘れた場合、まとめて多く与えてもよいですか?
A6:まとめて大量に与えるのは避けてください。肥料濃度が高くなり、肥料焼けや養分過剰につながる可能性があります。現在の生育状況を確認し、必要な量を分けて施すようにしましょう。
Q7:液体肥料は毎日与えてもよいですか?
A7:基本的には製品に記載された希釈倍率と使用間隔を守ってください。液肥は即効性がある一方、頻繁に与えすぎると肥料成分が過剰になる場合があります。水やりと肥料やりを区別し、必要なタイミングで使用しましょう。
追肥とは、野菜や植物が生育する途中で不足する養分を補うために追加する肥料のことです。植え付け前に施す元肥が生育の土台をつくるのに対し、追肥は植物の成長や収穫に合わせて栄養を補給する役割を担います。
追肥を上手に行うためには、窒素・リン酸・カリの働きを理解し、野菜ごとの養分吸収の特徴に合わせて肥料を選ぶことが重要です。ナスやキュウリなどの果菜類は継続的な追肥が必要になる一方、ホウレンソウなどの短期間で収穫する野菜は元肥主体で育てられる場合があります。
化成肥料、有機質肥料、液体肥料にはそれぞれ特徴があり、目的に応じた使い分けが効果的です。肥料の使用量や希釈倍率を守り、株元への集中施肥や過剰な追肥を避けることで、肥料焼けなどのトラブルも防ぎやすくなります。
最も大切なのは、決まった日数や回数だけを頼りにするのではなく、植物の状態を観察して判断することです。肥料を与える前に葉色や花、実の成長を確認し、必要な養分を適切な量だけ補給する。この基本を守ることが、健康な野菜を育て、安定した収穫につながります。
主な根拠資料: 農林水産省「都道府県施肥基準等」「肥料を使う理由や安全性について」、愛知県「農作物の施肥基準(2026年3月改定)」、JA西春日井、JA埼玉中央、タキイ種苗、サカタのタネの栽培・施肥情報。