タワーオブロンドンは、2015年2月9日生まれの牡馬で、毛色は鹿毛。北海道日高町のダーレー・ジャパン・ファームで生産され、馬主はゴドルフィン、管理調教師は藤沢和雄だった。
現役時代の主戦場は芝の1400メートルから1200メートル。2歳時にはマイルのG1でも上位に食い込んでおり、単なる短距離専門馬ではなかった。
基本プロフィールは次のとおり。
- 馬名:タワーオブロンドン(Tower of London)
- 生年月日:2015年2月9日
- 性別:牡
- 毛色:鹿毛
- 父:レイヴンズパス
- 母:スノーパイン
- 母の父:ダラカニ
- 馬主:ゴドルフィン
- 生産牧場:ダーレー・ジャパン・ファーム
- 調教師:藤沢和雄
- 通算成績:18戦7勝
- 重賞勝利:5勝
- 獲得賞金:4億755万円
- タイムフォームレーティング:125
- 種牡馬供用開始:2021年
JRAの競走馬情報とダーレー・ジャパンの公式プロフィールによれば、国内17戦7勝、海外1戦0勝という内訳で、国内外を合わせた18戦で7勝を記録している。
また、2019年にはサマースプリントシリーズのチャンピオンにも輝いた。2歳から4歳まで毎年重賞を勝ち、年齢を重ねながら適性距離を短縮していった点も特徴的だ。
【競走成績】スプリンターズステークス制覇までの軌跡

タワーオブロンドンのキャリアを振り返ると、最大の転換点は3歳から4歳にかけての距離適性の変化にある。
デビュー当初は1500メートルや1400メートルを中心に走り、朝日杯フューチュリティステークスでは3着。2018年のアーリントンカップでは1600メートルの重賞を制した。
その後、2019年に本格的なスプリント路線へ移行。1400メートルと1200メートルの双方でレコード勝ちを収め、最終的にスプリンターズステークスを制覇した。
年代別の主な戦績| 時期 | 主な出来事・レース | 結果・意味 |
|---|---|---|
| 2017年・2歳 | 京王杯2歳ステークス | 重賞初制覇。1400mで2馬身差の勝利 |
| 2017年・2歳 | 朝日杯フューチュリティステークス | 3着。マイルG1でも実力を示す |
| 2018年・3歳 | アーリントンカップ | 1600mのG3を制覇 |
| 2019年5月11日 | 京王杯スプリングカップ | 1400mで1分19秒4のコースレコード |
| 2019年9月8日 | セントウルステークス | 1200mで1分6秒7のコースレコード |
| 2019年9月29日 | スプリンターズステークス | 1分7秒1でG1初制覇 |
| 2020年12月13日 | 香港スプリント | 13着。現役最後のレース |
| 2021年 | ダーレーで種牡馬入り | 北海道日高町で種牡馬生活を開始 |
| 2024年 | 初年度産駒がデビュー | アーリントンロウなどが早期に活躍 |
| 2025年 | パンジャタワーがNHKマイルカップ優勝 | 父として初のG1タイトルを獲得 |
| 2026年 | フェリチタが函館2歳ステークス優勝 | 次世代の重賞勝ち馬も登場 |
2019年5月11日の京王杯スプリングカップは、タワーオブロンドンの能力を象徴する一戦だった。
東京競馬場の芝1400メートルで記録したタイムは1分19秒4。当時のコースレコードを更新する勝利だった。
このレースで注目したいのは、1200メートルに距離を短縮する前から、1400メートルでも高いパフォーマンスを発揮していたことだ。
短距離馬には、単純な最高速度だけでなく、速いペースを維持する持続力や直線での加速力も求められる。タワーオブロンドンは、その両面を高いレベルで備えていた。
セントウルステークスで1200メートルの適性を証明2019年9月8日のセントウルステークスでは、阪神芝1200メートルを1分6秒7で走破。
こちらもコースレコードで、2着のファンタジストに3馬身差をつける内容だった。
この勝利によって、タワーオブロンドンは1200メートルのG1を狙える存在として評価を高めた。
2019年スプリンターズステークスで悲願のG1制覇そして2019年9月29日、中山競馬場で行われた第53回スプリンターズステークス。
C.ルメール騎手とのコンビで臨んだタワーオブロンドンは、単勝2番人気に支持された。
レースでは前方の馬を見ながら進み、最後の直線で鋭く伸びる。先行していたモズスーパーフレアを捕らえ、1分7秒1でゴールした。
2着モズスーパーフレアとの差は半馬身。3着ダノンスマッシュにも先着した。
これは同馬にとって初のG1タイトルであり、重賞5勝目でもあった。
特に注目すべきなのは、同年の京王杯スプリングカップ、セントウルステークス、スプリンターズステークスという異なる舞台で結果を残したことだ。
1400メートルの東京、1200メートルの阪神、そして中山のG1。異なる競馬場と展開に対応した実績は、単なる一発型ではないことを示している。
JRAの2019年スプリンターズステークス公式結果とダーレー・ジャパンの競走成績資料にも、これらの記録が掲載されている。
2020年にはオーシャンステークス3着などを記録したものの、同年12月13日の香港スプリント13着を最後に引退。12月24日付で競走馬登録を抹消され、翌2021年から種牡馬として供用された。
【血統】レイヴンズパスとスノーパインが伝えるスピードと底力
タワーオブロンドンの血統を理解するには、父レイヴンズパスだけでなく、母スノーパインの系統まで見る必要がある。
父系にはアメリカのスピード血統、母系には欧州のクラシック血統が組み込まれている。
父レイヴンズパスは世界的なG1馬父のレイヴンズパス(Raven's Pass)は2005年生まれ。
代表的な勝ち鞍には、ブリーダーズカップ・クラシックやクイーンエリザベス2世ステークスがある。
父はイルーシヴクオリティで、その先にはミスタープロスペクターの系統が続く。
ミスタープロスペクター系は、競走馬のスピードや瞬発力を語るうえで重要な血統として知られている。
レイヴンズパス自身は欧米のトップレベルで活躍した馬であり、タワーオブロンドンはその競走能力を日本の芝で開花させた存在だった。
母スノーパインには欧州の名牝系が流れる母スノーパイン(Snow Pine)は2010年生まれ。
父はフランスの名馬ダラカニで、母はシンコウエルメス。さらに母系をたどると、サドラーズウェルズやドフザダービーにつながる。
この牝系は、国内外に多くの活躍馬を送り出してきた名門ファミリーだ。
近親には以下のような馬がいる。
- ディーマジェスティ:皐月賞優勝馬
- ソーベツ:フランスのサンタラリ賞優勝馬
- オセアグレイト:ステイヤーズステークス優勝馬
- エルノヴァ:エリザベス女王杯3着などの実績馬
- ライトバック:桜花賞・オークス3着
母スノーパイン自身もフランスで2勝を挙げており、競走馬としての実績を持つ。
加えて、ダーレー・ジャパンの血統資料によると、スノーパインは5頭の産駒を持ち、そのうち5頭が出走、3頭が勝ち馬となっている。
タワーオブロンドンの血統が示す特徴父系のスピードと母系の欧州的な底力。この組み合わせは、タワーオブロンドンの現役時代の適性とも整合する。
実際に同馬は1200メートルだけでなく、1400メートルや1600メートルでも勝利を挙げた。
そのため、産駒についても「父がスプリンターだから1200メートル専用」と決めつけるのは早計だ。
パンジャタワーが1600メートルのNHKマイルカップを制した事実は、父の血統が距離適性の面で幅を持って伝わる可能性を示している。
【種牡馬としての現在】ダーレー・ジャパンでの評価と2026年の種付け料
タワーオブロンドンは2021年から北海道沙流郡日高町のダーレー・ジャパン スタリオンコンプレックスで種牡馬生活を送っている。
初年度の種付け料は150万円だった。その後、産駒のデビューと活躍を経て評価が上昇し、2025年度には200万円となった。
そしてダーレー・ジャパンが2025年12月17日に公表した2026年度の種付け料でも、同額の200万円が維持された。
2026年度の種付け料:200万円
支払い条件:産駒誕生後30日以内支払い
繋養先:ダーレー・ジャパン スタリオンコンプレックス(北海道日高町)
この価格設定は、パンジャタワーのG1制覇によって種牡馬としての評価が高まったことを反映している。
また、JBISサーチの世代別データでは、2025年の種付け頭数は188頭。2024年の172頭から増加しており、生産者側からの需要も確認できる。
種牡馬としての評価を左右する3つの要素第一に、産駒の早期デビューと勝ち上がり能力だ。
初年度産駒は2024年にデビュー。早い段階から勝ち馬を送り出し、アーリントンロウやレイピアが重賞戦線でも存在感を示した。
第二に、芝の短距離からマイルまで対応できる可能性である。
父自身が1400メートルと1200メートルでレコード勝ちを記録し、1600メートルでも重賞を勝っている。パンジャタワーのNHKマイルカップ制覇は、この特徴が産駒にも表れた事例だ。
第三に、繁殖牝馬との配合によって能力を引き出せるかという点だ。
スピード型の繁殖牝馬との組み合わせだけでなく、母系にスタミナや持続力を持つ血統を組み合わせたとき、どのような競走能力が生まれるかが今後の注目点となる。
【2026年最新】タワーオブロンドンの代表産駒と競走成績
2026年のタワーオブロンドン産駒を語るうえで、中心となるのはパンジャタワー、フェリチタ、レイピアの3頭だ。
それぞれ異なる世代で活躍しており、父の能力がどのように伝わっているかを考える材料になる。
パンジャタワー:NHKマイルカップを制した代表産駒パンジャタワーは2022年2月21日生まれの牡馬。
母はクラークスデール、母の父はヴィクトワールピサ。2024年にデビューし、京王杯2歳ステークスを制した。
さらに2025年5月11日のNHKマイルカップでは、9番人気という評価を覆して優勝。父タワーオブロンドンにとって、産駒による初のG1制覇となった。
同年のキーンランドカップも制しており、1600メートルと1200メートルの双方で重賞を勝った点が特徴だ。
2026年には高松宮記念4着、安田記念5着、キーンランドカップ2着と、引き続き一線級で戦った。
ただし、2026年9月27日のスプリンターズステークスでは2番人気に支持されながら15着。父が勝利したG1で結果を残せなかったことは、今後の課題として残った。
2026年11月初旬時点の国内通算成績は10戦4勝。海外でも2戦している。
パンジャタワーの存在は、タワーオブロンドン産駒が短距離だけでなくマイルG1でも頂点に立てることを証明した。一方で、古馬になってからの安定性については引き続き検証が必要だ。
フェリチタ:2026年の函館2歳ステークスを制覇2024年4月27日生まれの牝馬で、母はジャストザハピネス、母の父はハーツクライ。
フェリチタは2026年6月21日の函館芝1200メートルでデビュー戦を勝利した。
続く7月19日の函館2歳ステークスでは、9番人気ながら勝利。重馬場の芝1200メートルを1分10秒4で走り、父に新たな重賞タイトルをもたらした。
さらに10月31日のファンタジーステークスでは2着に入り、芝1400メートルでも能力を示した。
11月初旬時点で3戦2勝、2着1回。デビューから一度も3着以下に敗れていない。
2歳牝馬という成長途上の段階で、1200メートルの重賞を勝ち、1400メートルでも好走したことは大きな収穫だ。
今後は距離延長への対応や、3歳世代の重賞でどこまで通用するかが注目される。
レイピア:短距離重賞で安定した実績レイピアは2022年4月27日生まれの牡馬。母アンナトルテ、母の父エンパイアメーカーという血統だ。
2026年には以下の重賞で好走している。
- シルクロードステークス:2着
- オーシャンステークス:2着
- 函館スプリントステークス:3着
- CBC賞:2着
- スプリンターズステークス:13着
特にCBC賞では、2026年8月9日に芝1200メートルで2着。勝ち馬フロムダスクに続く結果を残した。
一方、スプリンターズステークスでは13着。パンジャタワーと同様、G1の舞台で結果を残すことが課題となっている。
それでも、複数の重賞で上位に食い込む安定感は、種牡馬としての評価を支える実績だ。
その他の代表産駒にも注目タワーオブロンドン産駒は、上記3頭だけではない。
アーリントンロウは2024年の小倉2歳ステークスで3着。ウチュウノセカイは2025年のカンナステークスを制した。
また、サンカリプソは2025年の盛岡・サファイア賞を勝利している。
これらの馬を見ると、芝の1200~1600メートルを中心に活躍する馬が多い一方、地方競馬でも勝ち馬を送り出していることが分かる。
2026年の産駒成績を数字で評価するJBISサーチの2026年11月1日更新データでは、タワーオブロンドンの中央競馬における総合サイアーランキングは31位。中央競馬のAEIは0.80となっている。
AEIは、産駒の平均的な獲得賞金を全体平均と比較する指標だ。1.00が基準となるため、0.80は全体平均を下回る水準を意味する。
この数字だけを見ると、トップクラスの種牡馬と評価するにはまだ実績の積み上げが必要だ。
しかし、パンジャタワーのG1制覇、フェリチタの重賞勝利、レイピアの複数重賞での好走を考慮すると、上位産駒の競走能力には十分な魅力がある。
特に、産駒世代がまだ若く、今後デビューする馬や成長する現役馬が残されていることも評価のポイントだ。
【プロの結論】タワーオブロンドンの種牡馬評価は今後さらに上がるのか
タワーオブロンドンの競走馬としての評価は、2019年のスプリンターズステークス制覇によって確立された。
一方、種牡馬としての評価は、パンジャタワーの登場によって大きく前進した段階にある。
現状を整理すると、強みと課題は明確だ。
評価できるポイント
- 初年度産駒からNHKマイルカップ優勝馬が誕生した。
- 2026年にはフェリチタが函館2歳ステークスを制覇した。
- レイピアなど、複数の重賞で好走する産駒がいる。
- 芝1200メートルだけでなく、1400~1600メートルでも結果が出ている。
- 2026年度も種付け料200万円を維持している。
今後の課題
- 産駒全体のAEIはまだ1.00を下回っている。
- G1勝ち馬が複数世代から継続して登場するかは、今後の検証が必要。
- 産駒の古馬になってからの成長力や安定性を確認する必要がある。
- 短距離以外の距離でどこまで実績を伸ばせるかが注目される。
特に重要なのは、G1馬を一頭送り出したことと、種牡馬として安定的に優秀な産駒を送り出し続けることは別の評価軸だという点である。
パンジャタワーは父の競走能力を強く印象づけた存在だが、種牡馬の真価は産駒の数、勝ち上がり率、重賞勝ち馬の継続的な出現によって判断される。
その意味で、フェリチタやレイピアの活躍は重要だ。異なる世代から重賞級の馬が登場していることは、タワーオブロンドンの血が一頭だけの偶然ではなく、一定の再現性を持つ可能性を示している。
今後の評価で注目したいのは、次の3点だ。
1. パンジャタワーが古馬G1で巻き返せるか。
2. フェリチタが3歳以降も重賞戦線で活躍できるか。
3. 2023年以降の産駒世代から、新たなG1級の競走馬が登場するか。
これらが実現すれば、200万円という種付け料を超える評価を獲得する可能性もある。
【よくある質問】タワーオブロンドンに関するFAQ
Q1:タワーオブロンドンはどんな競走馬だった?
A1:2015年生まれの牡馬で、18戦7勝、重賞5勝を記録したスプリンター。2019年のスプリンターズステークスを制し、京王杯スプリングカップとセントウルステークスではコースレコードも樹立した。
Q2:タワーオブロンドンの父と母は誰?
A2:父はレイヴンズパス、母はスノーパイン。母の父はダラカニで、母系にはシンコウエルメスやドフザダービーにつながる名牝系がある。
Q3:タワーオブロンドンの代表産駒は?
A3:代表産駒は2025年NHKマイルカップを制したパンジャタワー。2026年には函館2歳ステークスを勝ったフェリチタや、複数の短距離重賞で好走するレイピアも注目されている。
Q4:タワーオブロンドンは現在どこで種牡馬をしている?
A4:北海道沙流郡日高町のダーレー・ジャパン スタリオンコンプレックスで繋養されている。2026年度の種付け料は200万円。
Q5:タワーオブロンドン産駒は短距離しか走れない?
A5:そのようなことはない。1200メートルで活躍する産駒が多い一方、パンジャタワーは1600メートルのNHKマイルカップを制覇している。1400~1600メートルまで適性を示す産駒もいる。
タワーオブロンドンは、現役時代に18戦7勝、重賞5勝という実績を残した名スプリンターだ。
2019年のスプリンターズステークス制覇に加え、京王杯スプリングカップとセントウルステークスでのコースレコード樹立は、同馬のスピードと競走能力を象徴している。
引退後は2021年から種牡馬となり、2024年に初年度産駒がデビュー。2025年にはパンジャタワーがNHKマイルカップを制し、2026年にはフェリチタが函館2歳ステークスを勝った。
現時点では、産駒全体の成績やAEIに改善の余地があるものの、複数世代から重賞級の競走馬が現れている点は見逃せない。
父レイヴンズパスから受け継いだスピードと、母スノーパインの欧州名牝系が持つ血統的な奥行き。その組み合わせが次世代でどのような成果を生むのか。
タワーオブロンドンは、競走馬としての実績を種牡馬としての実績へとつなげ始めた存在である。2026年以降のパンジャタワーの復活、フェリチタの成長、そして新たなG1馬の誕生が、種牡馬としての最終的な評価を左右することになる。
主な情報照合先
- JRA:2019年スプリンターズステークス公式結果。
- ダーレー・ジャパン:競走成績、血統、レースレコード、種牡馬プロフィール。
- JBISサーチ:基本プロフィール、2026年種牡馬ランキング、産駒成績。
- ダーレー・ジャパン:2026年度種付け料公式発表。
- JRA・JBIS:パンジャタワー、フェリチタ、レイピアの競走成績。