第7話でもう一つ大きな意味を持つのが、星砂と悠日の関係です。
星砂には、これまで悠日と恋人として過ごしてきた人格とは別の人格が存在します。第6話から前面に出ている、いわゆる「ヘビ女」の星砂です。
この人格は悠日に対して警戒心を抱き、鈴之介を頼りにしています。
なぜ別人格の星砂は悠日を避けるのか理由の一つは、悠日の兄である馬淵朝陽の存在です。
朝陽は殉職した元刑事であり、3年前の事件ではリサを逮捕した人物でもあります。
別人格の星砂は、朝陽がリサを殺そうとしたと認識しており、その弟である悠日にも不信感を持っています。
悠日が朝陽の行動について「何かの間違いではないか」と考えていることも、星砂との溝を深めます。
加えて、悠日は星砂が朝陽のスマートフォンを持っていることに気付きます。
星砂はスマートフォンを持っていたことを認めますが、悠日に返すことは拒否します。
彼女にとって朝陽はリサを傷つけた人物であり、悠日はその弟です。単純に恋人の家族だから信頼するという関係にはなれません。
星砂が鈴之介にすがる理由悠日が苦しむのは、目の前に星砂がいるのに、自分の知っている彼女として接してもらえないからです。
一方、別人格の星砂にとって鈴之介は安心して頼れる存在です。
悠日が2人の様子を目の当たりにすると、嫉妬や悲しみだけでなく、自分の居場所を失ったような感覚まで生まれます。
鈴之介は悠日に、彼女が別人格であることを理解してほしいと頭を下げます。
ここで注目したいのは、鈴之介が星砂を誰かの所有物として扱わないことです。
琉夏から悠日に星砂を返してほしいと頼まれた際にも、鈴之介は彼女を物のように扱うことを拒みます。
この態度には、星砂自身の意思を尊重する鈴之介の優しさが表れています。
悠日の愛情も、鈴之介の気遣いも、別人格の星砂の警戒心も、それぞれに理由があります。誰か一人を悪者にできない構図だからこそ、3人の関係は一層切なく映ります。
【第7話のラストを考察】星砂の手紙と雪松の涙が示すもの

第7話の終盤では、恋愛面と事件面の両方で重要な展開が待っています。
星砂が悠日に残した手紙星砂を取り戻す方法を知りたい悠日は、小洗杏月のもとを訪ねます。
そこで杏月から渡されたのが、以前の人格の星砂が悠日に残していた手紙です。
星砂は、自分がいなくなる可能性を考えていたのでしょう。手紙には、悠日に向けた3つのお願いが書かれていました。
- 自分がどうしてこうなったのか、過去を掘り返さないこと。
- 自分がいなくなっても、寂しがるのはほどほどにすること。
- 泣かずにいてほしいこと。
特に印象的なのが、思い出についての言葉です。
「スプーン1杯の思い出だけを覚えていてくれ」
この言葉には、星砂らしいぶっきらぼうな優しさがあります。
彼女は悠日との関係を、劇的な約束や大きな幸せだけで表現していません。
一緒に過ごした何気ない時間、小さな喜び、2人だけが知っている出来事。それらがあれば十分だという気持ちが込められています。
悠日は手紙を読みながら涙を流します。
それまで星砂を取り戻すことばかり考えていた悠日が、彼女が自分と過ごした時間を大切にしてくれていたと知る場面です。
CINEMAS+やシネマカフェの放送後レビューでも、この手紙の「スプーン一杯の思い出」という表現に注目が集まり、視聴者の感想として感動や切なさが紹介されました。
森園と雪松の将棋が意味するもの恋愛面の余韻とは対照的に、事件パートでは不穏な空気が強まります。
森園は雪松のもとを訪れ、将棋を指しながら過去の2つの殺人事件について探りを入れます。
重要なのは、雪松が過去の事件に関わっていたという点です。
そして、第7話の最後には、雪松が車内から「響子」という人物に電話をかける場面が登場します。
電話口で雪松は、事件が片付いたこと、ようやく終わったことを伝えながら涙を流します。
この場面には、単なる事件の解決では説明できない不気味さがあります。
ただし、第7話の段階では、響子が誰なのか、雪松が何を終わらせたのかは明らかになっていません。
雪松が過去の事件に関与していた可能性を疑わせる演出ではありますが、この電話だけで真犯人と決めつけることはできません。
日本テレビの第8話公式あらすじでは、菜々美に逮捕状が出る一方、鈴之介、星砂、森園が雪松に狙いを定めて調べ始めることが明かされています。第7話のラストは、次のエピソードへ続く大きな伏線になっています。
【第7話の感想・考察】ミステリー以上に心に残る人間ドラマ
第7話の魅力は、殺人事件の謎解きと登場人物の感情の変化が、別々の物語になっていないことです。
考察1:菜々美の事件は「見た目で判断する怖さ」を描いている菜々美は、恋人を殺された直後にもかかわらず、カラオケで歌う動画をSNSに投稿していました。
その姿だけを見ると、悲しんでいないように感じる人もいる可能性があります。
しかし、実際には彼女なりに別れを受け入れようとしていました。
鈴之介たちが見抜いたのは、表面に見える行動と本人の本当の気持ちが必ずしも一致しないということです。
このエピソードは、SNSに投稿された一場面や周囲の評判だけで、人の感情や行動を決めつけることの危うさを描いています。
同時に、証言が一致しない場合にも、誰かが嘘をついているという結論だけで終わらせず、なぜ嘘をつく必要があったのかを考えることが推理の鍵になります。
考察2:星砂の手紙は、過去の人格を否定しないためのメッセージ星砂の別人格をめぐる展開では、悠日が以前の星砂を取り戻したいと願っています。
しかし、現在の星砂もまた、一人の人格として存在しています。
ここで悠日の願いだけを優先すれば、現在の星砂の気持ちが置き去りになります。
鈴之介が星砂を守る姿勢を見せるのは、彼女を単に以前の人格に戻す対象として見ていないからです。
一方、手紙を書いた以前の星砂も、悠日に自分の存在を忘れないでほしいという思いを残しています。
この2つの人格をめぐる物語は、愛する人の変化を受け入れることの難しさを描いています。
考察3:雪松の涙は事件の裏側にある別の動機を示唆する雪松の電話は、第7話のミステリーをさらに深める場面です。
もし雪松が単純な悪意だけで行動しているのなら、電話で涙を流す演出には別の意味が必要になります。
過去の事件との関係、響子という人物の存在、そして雪松が終わったと語る出来事。
これらは、連続殺人事件の背後に個人的な事情が存在する可能性を感じさせます。
第7話は犯人を明かす回ではなく、事件の構造と登場人物の動機を大きく組み替える回です。
第7話を見た人の評価につながる3つのポイント| 見どころ | 評価される理由 |
|---|---|
| 菜々美のアリバイ推理 | 細かな証言の矛盾が事件を動かす |
| 星砂と悠日の関係 | お互いを思う気持ちがすれ違う切なさ |
| 星砂の手紙 | 日常の小さな思い出を大切にする温かさ |
特に印象的なのは、事件の推理が終わった後に、星砂の手紙が物語の感情的な中心になる構成です。
視聴者は、菜々美の疑いがどうなるのかというミステリーの答えだけでなく、悠日が星砂との関係にどう向き合うのかも気にせずにはいられません。
【プロの結論】第7話は冤罪と愛情のすれ違いが交差する転換点
第7話を読み解く際には、3つのポイントを押さえると物語の構造が見えやすくなります。
第一に、望月蓮の殺害事件は過去の冤罪疑惑を再び浮かび上がらせる事件であること。
5年前と3年前の事件との類似性は、過去の捜査が正しかったのかという根本的な疑問につながっています。
第二に、菜々美のアリバイは周囲の証言だけでは判断できないこと。
彼女の行動を不審に見せていたのは、表面的な印象と、飲酒を隠したい仲間たちの嘘でした。第7話の推理は、証言を裏付ける背景まで調べる必要性を示しています。
第三に、星砂の物語は以前の人格を取り戻すだけでは解決しないこと。
悠日の愛情、別人格の星砂の意思、鈴之介の優しさ。それぞれの気持ちが存在する以上、単純な元通りの関係を期待することはできません。
この3点が、第7話を単なる事件解決回ではなく、作品全体の転換点にしています。
【初恋の悪魔の第7話】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:『初恋の悪魔』第7話の放送日はいつですか?
A1:2022年9月3日(土)です。日本テレビ系の土曜ドラマとして放送されました。
Q2:第7話で星砂と悠日は再会できましたか?
A2:再会しています。ただし、悠日が再会した星砂は以前とは異なる人格で、悠日に警戒心を示します。以前の星砂との思い出を大切にする悠日との間には、深いすれ違いが生まれます。
Q3:望月蓮を殺した真犯人は第7話で判明しますか?
A3:第7話では判明しません。5年前、3年前の事件との類似性や菜々美のアリバイが焦点となり、連続殺人の真相は次回以降に持ち越されます。
Q4:桐生菜々美のアリバイは嘘だったのですか?
A4:菜々美がサークル仲間と会ったという説明を、仲間たちが否定していました。しかし、仲間たちは未成年者との飲酒を隠すために証言を偽っていたことが分かります。菜々美のアリバイを裏付ける可能性が浮上しますが、第7話では事件そのものは未解決です。
Q5:星砂が悠日に残した手紙には何が書かれていましたか?
A5:自分がいなくなっても過去を掘り返さず、寂しがりすぎず、泣かないでほしいというお願いです。特に「スプーン1杯の思い出」という表現が、悠日との小さな幸せを大切にする星砂の気持ちを象徴しています。
Q6:雪松が電話で話していた「響子」とは誰ですか?
A6:第7話では正体は明かされていません。雪松が涙ながらに事件の終わりを告げる場面は、第8話以降の重要な謎につながっています。
『初恋の悪魔』第7話は、望月蓮の殺害事件をきっかけに、過去の2つの事件、リサの冤罪疑惑、雪松の不審な行動が結びつく重要なエピソードです。
同時に、別人格となった星砂と悠日の再会、そして以前の星砂が残した手紙によって、作品のもう一つの軸である恋愛と人間関係も大きく動きます。
2026年に改めて振り返っても、見逃せないのは次の3点です。
- 望月蓮の事件は、過去の事件の真相を問い直すきっかけになった。
- 桐生菜々美への疑いは、周囲の嘘によって作られた可能性があった。
- 星砂の手紙は、悠日との恋愛が確かに存在したことを伝えていた。
特に、事件の推理と星砂の手紙を同じエピソードに配置した構成は、坂元裕二脚本らしい人間の感情への鋭い視線を感じさせます。
犯人探しだけでは終わらない。誰かの言葉を信じること、他人の気持ちを理解すること、そして失った関係をどう受け止めるか。
第7話は、そうしたテーマをミステリーの中に織り込んだ、『初恋の悪魔』の物語を理解するうえで欠かせない一話です。