西舘の投手としての特徴は、最速155キロの直球だけではない。カットボールをはじめとする変化球と、走者の有無にかかわらずクイックモーションで投げる独特のフォームが組み合わさっている。
直球とカットボールを軸にした投球中央大学時代から評価されていた球種は、主に次のとおりだ。
- ストレート: 最速155キロを記録した速球。投球の中心となる球種。
- カットボール: 直球に近い軌道から変化し、打者の芯を外すために使える球種。
- スプリット: 速球との球速差や落差を利用して空振りを狙う球種。
- スライダー: 横方向の変化で打者のバットの軌道を外す。
- カーブ: 緩急をつけ、打者のタイミングを崩すための球種。
特にカットボールは、西舘を特徴づける球種の一つだ。速球と似た軌道から変化を加えられるため、打者に球種を絞らせにくい。空振りだけでなく、打ち損じを誘う投球にもつながる。
大学時代の取材記事でも、カットボールやスプリットなどを組み合わせて三振を奪う投球スタイルが紹介されている。2026年に65奪三振を記録した背景には、こうした複数の球種を使い分けられる能力がある。
クイックモーションが生み出す独自性西舘のフォームで特徴的なのは、走者がいない場面でもクイックモーションを採用する点だ。
一般的にクイック投法は走者への対応を目的とすることが多い。しかし、西舘はフォームを簡潔にすることで、投球時の感覚を整え、球速と制球の両立を目指した。
中央大学時代の本人の説明でも、クイックで捕手方向へシンプルに押し出す動作に変えたことで、出力を高め、コントロールも安定したという趣旨が語られている。
巨人のスカウトもドラフト時に、常にクイックで投げるため、走者が出ても投球スタイルが変わらない点を評価していた。これは単なるフォームの珍しさではなく、実戦での再現性につながる特徴として評価されたものだ。
【先発起用と中継ぎ適性】巨人は西舘をどう使うべきか

西舘の起用法を考える際、見逃せないのが2024年と2026年の役割の違いだ。プロ1年目は主にリリーフで実績を積み、2025年から先発への転換を進めた。2026年は先発登板が中心となり、大学時代に経験した先発投手としての能力をプロでも試す段階に入った。
2024年はリリーフとして20ホールドプロ1年目の2024年は28試合に登板し、1勝3敗、1セーブ、20ホールド、防御率3.82を記録した。
30回2/3という投球回数で20ホールドを挙げたことは、中継ぎとしての適性を示す実績だ。短いイニングで持ち味の速球や変化球を生かし、試合の重要な局面を任された。
中継ぎ投手には、登板した試合で速やかにアウトを取る能力に加え、走者を背負った状況でも崩れない対応力が求められる。西舘のクイックモーションは、こうした場面でも生かせる可能性がある。
2026年は10試合に先発一方、2026年は14登板のうち10試合が先発だった。公開されている投手成績の詳細では、10先発中4試合でクオリティースタート(QS)を記録している。
QSは、先発投手が6イニング以上を投げて自責点3以内に抑えることを指す。先発投手として試合を安定させる能力を測る際に使われる指標だ。
10先発で4QSという数字は、先発として一定の成果を残しながらも、毎試合安定して長いイニングを投げる段階にはまだ達していないことを示している。
中継ぎと先発、それぞれの適性を比較| 評価項目 | 中継ぎ起用 | 先発起用 |
|---|---|---|
| 実績 | 2024年20ホールド | 2026年10先発 |
| 強み | 短いイニングで球威を発揮 | 多彩な球種で打者と対戦 |
| 投球スタイル | 速球と変化球で勝負 | 配球とスタミナの管理が必要 |
| 課題 | 連投への対応 | 長いイニングでの安定性 |
| 現状の評価 | 実績のある適性 | 今後の成長が期待される役割 |
現段階では、どちらか一方の役割に完全に固定する必要はない。2024年に中継ぎとして20ホールドを挙げた実績は貴重であり、2026年の先発起用も将来性を判断する材料になる。
ただし、2026年に10試合の先発実績を積んだことを踏まえると、今後の評価軸は先発としての継続性になる。球団が西舘を先発ローテーションの一角として育てるのか、状況に応じてリリーフへ戻すのかは、今後の登板内容が左右する。
【2027年以降の課題】防御率3.00をさらに上の評価につなげる条件
2026年の防御率3.00は評価できる数字だ。しかし、ドラフト1位投手として巨人の主力先発陣に定着するには、改善したいポイントも残されている。
課題1:被本塁打を減らす2026年は57イニングで10本の本塁打を許した。被本塁打率に換算すると9イニングあたり約1.58本となる。
奪三振能力が高い投手でも、長打を浴びると一度の失投が失点に直結する。特に先発投手は、同じ打者と試合中に複数回対戦することもあるため、球種やコースを工夫して打者に狙いを絞らせない投球が必要になる。
カットボールを生かした投球の組み立てや、直球とのコンビネーションをさらに磨けるかがポイントになる。
課題2:四球を減らしてWHIPを改善する2026年の与四球は25。57イニングで割ると、9イニングあたり約3.95四球となる。
奪三振率10.26に対して与四球率は3.95。三振を取る能力は高いものの、四球によって自らピンチを広げる場面を減らすことが重要だ。
WHIP1.26も、先発投手としてさらに改善できる余地がある。走者を出す回数が減れば、被本塁打による失点リスクも抑えやすくなる。
課題3:年間を通したコンディション管理2025年には上半身のコンディション不良で離脱を経験した。先発投手は登板後の回復期間を含め、シーズンを通じて一定の投球負荷を管理する必要がある。
2026年は14試合、57イニングという実績を残したが、先発ローテーションを年間通じて担うには、登板数と投球回数をさらに積み上げることが求められる。
球速や奪三振数だけでなく、登板間隔、投球フォームの再現性、疲労時の制球力も評価すべきポイントだ。
今後の評価で注目したい5つの指標| 指標 | 注目する理由 |
|---|---|
| 防御率 | 失点を防ぐ能力を確認できる |
| 奪三振率 | 最大の武器が維持されているか |
| WHIP | 走者を出す頻度を確認できる |
| QS率 | 先発として試合を作れるか |
| 投球回数 | 年間ローテーションへの適応力 |
2026年は奪三振能力と防御率の両面で前進した。次の段階では、これらの数字を長期間維持できるかが焦点となる。特に被本塁打、与四球、投球回数の3点は、2027年以降の評価を左右する重要な材料になる。
【西舘勇陽に関するよくある質問(FAQ)】
Q1:西舘勇陽は2026年現在、巨人で先発投手ですか?
A1:2026年は14試合に登板し、そのうち10試合で先発しました。2024年は20ホールドを記録した中継ぎ経験もあり、先発・リリーフの両方に実績があります。
Q2:西舘勇陽は2025年に右肩を故障したのですか?
A2:2025年8月に上半身のコンディション不良で登録抹消されたことは報道されています。ただし、右肩痛という具体的な診断名が公表された事実とは区別する必要があります。
Q3:西舘勇陽の2026年の成績はどれくらいですか?
A3:NPBのシーズン終了時の記録では、14登板、2勝4敗、57投球回、65奪三振、防御率3.00です。WHIPは1.26となっています。
Q4:西舘勇陽の得意球は何ですか?
A4:直球に加え、カットボール、スプリット、スライダー、カーブなどを操ります。特にカットボールは投球スタイルを特徴づける球種の一つです。
Q5:西舘勇陽は何年のドラフトで巨人に入団しましたか?
A5:2023年のドラフト会議で巨人から1位指名を受けました。中央大学からの入団で、日本ハムとの2球団競合を経て巨人が交渉権を獲得しました。
西舘勇陽は、花巻東高校から中央大学を経て、2023年ドラフト1位で巨人に入団した将来性豊かな右腕だ。
プロ1年目の2024年は28登板、20ホールドを記録し、中継ぎとして実績を残した。2025年は上半身のコンディション不良による離脱もあり、15登板、防御率4.22と苦しいシーズンを経験した。
しかし、2026年は14登板、57イニング、防御率3.00、65奪三振、WHIP1.26という成績を記録。10試合の先発起用もあり、先発投手としての可能性を示した。
プロの視点から特に評価したいのは、奪三振率の高さと、大学時代から培ってきたクイックモーションを含む独自の投球スタイルだ。速球とカットボールを軸に、複数の変化球を使えることは、先発投手としても中継ぎとしても強みになる。
一方で、被本塁打10、与四球25という数字は、さらなる成長に向けた明確な課題だ。防御率3.00を一度記録するだけでなく、年間を通じて安定した投球を続けられるかが重要になる。
西舘の今後を評価する際は、単純な勝敗だけで判断するべきではない。奪三振率、WHIP、QS率、投球回数、そしてコンディションの安定性を総合的に見る必要がある。
2026年は復調と先発適性を示したシーズン。次に求められるのは、巨人の先発ローテーションを継続して任されるだけの安定感だ。ドラフト1位右腕・西舘勇陽が、持ち味の球威と多彩な変化球を武器に、チームの中心投手へ成長できるか。2027年以降も注目したい選手の一人である。