『カンブリア宮殿』は、テレビ東京が制作する経済トーク番組です。2006年4月にスタートし、企業経営者や起業家、各業界のリーダーをゲストに招き、成功の裏側にある決断や組織運営の考え方を掘り下げてきました。
一般的な経済ニュースとの違いは、企業の業績や商品を紹介するだけでなく、経営者本人の価値観や人生観にまで踏み込むインタビュー形式にあります。
その中心にいたのが、作家の村上龍さんと俳優の小池栄子さんでした。
村上龍のインタビューが番組の看板になった理由村上龍さんは、作家として培った観察力や社会への鋭い問題意識を、経営者へのインタビューにも生かしていました。
テレビ東京の2026年10月の定例社長会見では、吉次社長が村上さんについて、洞察力や切り込む力、インタビュアーと取材対象者が正面から向き合う姿勢を評価しています。
また、番組立ち上げ時のプロデューサーだった和田取締役は、村上さんが収録前に渡された資料を読むだけでなく、自分でも情報を調べ、質問を練り上げていたと振り返りました。
この準備の深さが、経営者の用意した回答だけでは終わらない対話を生み出していたのです。
小池栄子とのコンビが生み出した独自の魅力村上さんの鋭い質問に対し、小池栄子さんは視聴者に近い立場から疑問を投げかける役割を担いました。
経営者が専門用語を交えて説明したときも、一般の人が疑問に感じるポイントを拾い上げることで、難しい経済テーマを理解しやすくしていました。
2人の役割は単純な進行役とアシスタントではありません。
- 村上龍:経営者の思想、社会観、意思決定の本質を掘り下げる。
- 小池栄子:生活者の視点から疑問を投げかけ、話を身近なものにする。
- ゲスト:企業の成長戦略や失敗、組織改革の背景を語る。
この組み合わせによって、経済に詳しくない視聴者も企業経営の面白さに触れられる番組になりました。
テレビ東京自身も、2021年の15周年記念発表で、村上さんの独自の視点と小池さんの等身大の質問を番組の特徴として紹介しています。
【20年間の年表】村上龍・小池栄子と番組の重要な転換点

2026年の卒業と訃報を理解するには、番組が歩んできた20年間を時系列で整理すると分かりやすくなります。
| 年月 | 出来事 | 意味・内容 |
|---|---|---|
| 2006年4月 | 番組スタート | 村上龍・小池栄子がMCに就任 |
| 2012年10月 | アーカイブ対象期間 | 後年のテレ東BIZで視聴できる過去回の収録対象期間 |
| 2021年4月 | 放送15周年 | 番組独自のインタビュー形式を改めて発信 |
| 2026年1月16日 | MC交代発表 | 金原ひとみ・ヒャダインの就任を発表 |
| 2026年3月26日 | 卒業スペシャル | 村上龍・小池栄子の最後の出演 |
| 2026年4月2日 | 番組リニューアル | 新MCによる新体制がスタート |
| 2026年8月27日 | 放送1000回 | 三谷幸喜をゲストに迎えた記念スペシャル |
| 2026年10月17日 | 村上龍さん逝去 | 享年74歳 |
| 2026年10月23日 | 訃報公表 | 幻冬舎BOOKSが公式Xで発表 |
| 2026年11月1日 | 追悼再放送 | 最後の出演回を再放送 |
特に注目したいのは、村上さんと小池さんの卒業が、番組終了ではなく、20周年を迎えるためのリニューアルとして発表されたことです。
テレビ東京は2026年1月16日の発表で、番組開始から丸20年を迎えるタイミングで初めてMCを交代すると説明しました。
つまり、20年間続いた番組の基本的な方向性を残しながら、インタビュアーと演出を刷新する判断だったのです。
【3月26日が最終出演回】村上龍&小池栄子の卒業スペシャルの全貌
村上龍さんと小池栄子さんの最後の出演回は、2026年3月26日放送の「村上龍&小池栄子卒業SP 未来をつかむ経営とは?」です。
テレビ東京の番組情報によると、放送時間は23時21分から翌0時40分まで。20年間の総決算として、過去に出演した数多くの経営者から注目人物を選び、その歩みと現在の挑戦を追う特別企画でした。
卒業スペシャルの出演ゲストスタジオゲストとして出演したのは、次の3人です。
高岡浩三さん
元ネスレ日本社長。企業経営の経験をもとに、若手経営者の育成にも取り組む人物です。
佐藤可士和さん
クリエイティブディレクター。企業やブランドの価値を再構築する仕事で知られ、番組ではシェア型書店「ほんまる」のブランディングに関わる挑戦も取り上げられました。
宮坂学さん
東京都副知事。ヤフー社長を務めた経験を持ち、東京都のデジタル化やGovTech東京の設立に関わってきた人物です。
20年間を象徴する経営者たちも登場卒業スペシャルでは、スタジオゲストだけでなく、過去の番組出演者の現在にも焦点が当てられました。
代表的な人物として紹介されたのが、次の経営者です。
- 豊田章男さん: トヨタ自動車の改革と、マスタードライバーとしてのものづくりへの取り組み。
- 柳井正さん: ファーストリテイリングを世界的な企業へ成長させた海外戦略。
- ソフトバンクグループ: 売上高7兆円を突破した企業の経営戦略。
これらの事例を通じて描かれたのは、企業が成長するまでの成功談だけではありません。経営環境の変化、組織の危機、経営者が下した難しい決断など、日本企業が20年間に経験した格闘そのものでした。
最終出演回が特別な意味を持つ理由この放送は、単なるMC交代の記念番組ではありませんでした。
20年間、企業のトップに質問を投げかけてきた2人が、番組の歴史そのものを振り返る機会でもあったからです。
村上さんが最後にインタビュアーとして出演した番組が、20年間の企業経営の変化を総括する内容だったことには、象徴的な意味があります。
その後、2026年10月に村上さんが逝去したことで、3月26日の放送は結果として、村上さんが番組に出演した最後の記録となりました。
【2026年4月の番組リニューアル】金原ひとみとヒャダインが新MCに就任
2026年4月2日から『カンブリア宮殿』は新しい体制でスタートしました。
新MCに選ばれたのは、作家の金原ひとみさんと音楽クリエイターのヒャダインさんです。
テレビ東京は、異なる分野で活動する2人の感性を組み合わせ、企業トップとの対話に新しい視点を持ち込むことをリニューアルの狙いとして説明しています。
金原ひとみは村上龍の後継者なのか金原ひとみさんは、2003年に『蛇にピアス』で文壇に登場し、翌2004年に同作で芥川賞を受賞した作家です。
テレビ東京の出演者紹介では、その後も複数の文学賞を受賞し、2025年には『YABUNONAKA―ヤブノナカ―』で毎日出版文化賞を受賞した経歴が紹介されています。
実は、金原さんと村上龍さんには文学界での接点があります。
テレビ東京の小林史憲チーフプロデューサーは、2026年10月のインタビューで、金原さんが『蛇にピアス』で芥川賞を受賞した際、村上さんが選考委員として強く推した経緯を明かしています。
また、互いの著作の解説を担当した縁もあり、番組制作側は金原さんを村上さんの文学的精神を受け継ぐ存在として捉えていました。
ただし、インタビューのスタイルまで同じというわけではありません。
村上さんが社会や経済を大きな視点から捉えていたのに対し、金原さんは生活者としての感覚や率直な疑問を経営者にぶつける点に特色があります。
ヒャダインが加わることで何が変わったのかヒャダインさんは、本名を前山田健一さんといい、京都大学卒業後、音楽クリエイターとして活動してきました。
アイドルやJ-POP、アニメ、ゲームなど幅広いジャンルで作詞・作曲・編曲を手掛けています。テレビ東京の公式プロフィールでも、音楽家とタレントの両面で活動していることが紹介されています。
今回の起用で重要なのは、金原さんが質問を深掘りする一方、ヒャダインさんが対話の流れを整え、ゲストの人物像を引き出す役割を担っていることです。
リニューアル後の視聴者の反応と番組の変化2026年10月29日公開のテレ東プラスのインタビューでは、小林チーフプロデューサーが約7カ月間のリニューアルの手応えを説明しています。
同氏によれば、長年の視聴者からも好意的な反応があり、金原さんとヒャダインさんは収録前の事前勉強にも熱心に取り組んでいるとのことです。
また、金原さんの独特の視点や、ヒャダインさんの言葉選びと場を和ませる力が、2人のコンビネーションを支えていると評価しています。
番組のスタジオセットもリニューアルされ、映画『国宝』の美術監督として知られる種田陽平さんがコンセプトデザインを担当しました。
ただし、テレビ東京が掲げた方針は、番組の根幹まで変えることではありません。「大人のための経済トークショー」という基本コンセプトは維持されています。
【2026年10月17日】村上龍の逝去とカンブリア宮殿の追悼放送
2026年10月17日、作家の村上龍さんが74歳で逝去しました。
幻冬舎BOOKSが10月23日に公式Xを通じて発表し、オリコンなどの報道各社も訃報を伝えました。発表によると、葬儀は家族葬で執り行われています。
村上さんは1952年、長崎県佐世保市生まれ。
1976年、大学在学中に執筆した『限りなく透明に近いブルー』で群像新人文学賞と芥川賞を受賞しました。
その後も『コインロッカー・ベイビーズ』『愛と幻想のファシズム』『イン ザ・ミソスープ』『五分後の世界』『13歳のハローワーク』など、幅広い作品を発表しています。
テレビ東京の『カンブリア宮殿』では、2006年4月から2026年3月まで20年間にわたってメインインタビュアーを務めました。
テレビ東京社長が明かした村上龍への思いテレビ東京の吉次社長は、2026年10月29日の定例会見で村上さんを追悼しました。
番組の立ち上げに関わった和田取締役も、収録前の綿密な準備や質問を練り上げる姿勢を振り返っています。
特に印象的なのは、和田氏が村上さんについて、仕事では緊張感のある存在でありながら、普段はお茶目な一面もあったと語っていることです。
番組制作の現場で長年一緒に仕事をしてきた関係者の言葉からは、インタビュアーとしての厳しさと人間的な魅力の両方が伝わってきます。
11月1日に最後の出演回を追悼再放送テレビ東京は、村上さんの逝去を受け、2026年11月1日(日)正午から最後の出演回を再放送しました。
番組名は「村上龍さん追悼 村上龍&小池栄子・卒業スペシャル」です。
再放送されたのは、3月26日に放送された「村上龍&小池栄子卒業SP 未来をつかむ経営とは?」でした。
テレビ東京の番組情報でも、村上さんの逝去を悼む特別な再放送として正式に掲載されています。
また、10月29日の定例社長会見では、テレビ東京側が次の対応を明らかにしました。
- 10月29日のレギュラー放送内でお悔やみと感謝を伝える。
- 11月1日に最後の出演回を再放送する。
- TVerでも同じタイミングでオリジナルの放送尺で配信する。
- 木曜日のレギュラー放送内で、改めて追悼回を実施する方向で検討する。
このうち、レギュラー放送内での追悼回については、11月5日時点で放送時期が正式決定したとの発表は確認できません。
【過去回の視聴方法】テレ東BIZ・TVerで村上龍の出演を振り返る
村上龍さんのインタビューをもう一度見たい人にとって、重要なのが公式配信サービスの使い分けです。
テレビ東京は、追悼に関連する発表の中で、テレ東BIZとTVerについて具体的な視聴情報を案内しています。
1.テレ東BIZ:2012年10月以降の過去回を視聴過去回のアーカイブ視聴におすすめ
村上龍さんの出演回をまとめて振り返りたい人向け。
テレビ東京の吉次社長は、2026年10月の会見で、テレ東BIZでは2012年10月以降の『カンブリア宮殿』約600回分を視聴できると説明しました。
20年間のすべての放送が対象というわけではありませんが、長期間のアーカイブを確認できる点が大きな魅力です。
特定の経営者が登場した回を探したい場合にも便利です。
2.TVer:見逃し配信と特別再放送を確認最新回・期間限定の見逃し視聴におすすめ
放送後の見逃し配信や対象番組のリアルタイム配信を利用できる。
テレビ東京は11月1日の追悼再放送に合わせ、TVerでもオリジナルの放送尺で配信すると説明していました。
ただし、TVerは通常、配信期間が限定されるサービスです。11月1日の特別配信が11月5日以降も視聴できるかどうかは、番組ページに表示される配信状況を確認してください。
3.ネットもテレ東・U-NEXTも選択肢通常の番組配信については、テレビ東京がネットもテレ東やU-NEXTのテレ東BIZセレクションも案内しています。
ただし、すべての過去回が各サービスで同じ条件で視聴できるわけではありません。
| 視聴サービス | 主な用途 | 注意点 |
|---|---|---|
| テレ東BIZ | 過去回のアーカイブ | 約600回分の対象期間を確認 |
| TVer | 最新回・見逃し配信 | 配信期間に制限がある |
| ネットもテレ東 | 対象回の無料見逃し | 配信対象回を確認 |
| U-NEXT | テレ東BIZセレクション | 対象作品・契約条件を確認 |
視聴目的で選ぶなら、村上龍さんの過去のインタビューをじっくり見たい人にはテレ東BIZ、放送されたばかりの番組を見たい人にはTVerが適しています。
2026年11月現在の番組体制と最新放送情報2026年11月5日時点で、『カンブリア宮殿』は終了していません。
テレビ東京の公式番組ページでは、毎週木曜日の23時06分から23時55分までを基本の放送枠として案内しています。
11月5日の放送は編成変更により23時12分開始となり、日産自動車のイヴァン・エスピノーサ社長兼CEOをゲストに迎える内容です。
MCは引き続き金原ひとみさんとヒャダインさんが担当しています。
また、2026年8月27日には三谷幸喜さんをゲストに迎えた放送1000回記念スペシャルも実現しました。
村上さんと小池さんの卒業後も番組が継続し、新たなゲストを迎えながら経営の本質に迫っていることが分かります。
【よくある質問】村上龍とカンブリア宮殿に関するFAQ
Q1:村上龍はカンブリア宮殿をいつ卒業しましたか?
A1:2026年3月26日放送の「村上龍&小池栄子卒業SP」が最後の出演回です。2006年4月の番組開始から約20年間、インタビュアーを務めました。
Q2:村上龍の最後の出演回のゲストは誰ですか?
A2:スタジオゲストは高岡浩三さん、佐藤可士和さん、宮坂学さんです。過去の出演者として豊田章男さんや柳井正さんなどの経営者の現在の挑戦も取り上げられました。
Q3:村上龍はいつ亡くなりましたか?
A3:2026年10月17日です。享年74歳。幻冬舎BOOKSが10月23日に公表しました。
Q4:カンブリア宮殿の新MCは誰ですか?
A4:作家の金原ひとみさんと音楽クリエイターのヒャダインさんです。2026年4月2日のリニューアル初回から担当しています。
Q5:村上龍の追悼放送はいつ行われましたか?
A5:2026年11月1日正午から、3月26日の卒業スペシャルが再放送されました。テレビ東京は、別途レギュラー放送内で追悼回を検討することも発表しています。
Q6:村上龍が出演した過去回はどこで見られますか?
A6:テレビ東京によると、テレ東BIZでは2012年10月以降の約600回分のアーカイブを視聴できます。TVerでは対象となる最新回や期間限定配信を確認できます。
Q7:カンブリア宮殿は2026年に終了したのですか?
A7:終了していません。2026年11月現在も金原ひとみさんとヒャダインさんをMCとして放送が続いています。
村上龍さんと『カンブリア宮殿』の関係は、単なる作家とテレビ番組の出演者という枠には収まりません。
2006年4月の番組開始から2026年3月の卒業まで、村上さんは小池栄子さんとともに20年間、企業経営者や各界のリーダーと向き合い続けました。
そのインタビューの特徴は、企業の成功を表面的に紹介するのではなく、経営者の価値観や決断の背景にまで踏み込むことでした。
2026年3月26日の卒業スペシャルは、2人の20年間を締めくくる放送となり、4月2日からは金原ひとみさんとヒャダインさんが新たな番組を担っています。
そして10月17日の村上さんの逝去を受け、テレビ東京は11月1日に最後の出演回を追悼再放送しました。
今後、村上さんのインタビューを振り返るなら、テレ東BIZの過去回アーカイブが有力な選択肢です。一方、新しい番組の姿を知りたいなら、金原さんとヒャダインさんによる現在の放送を見ることで、20年間受け継がれてきた番組の理念と新しい挑戦の両方を確認できます。
【プロの結論】
『カンブリア宮殿』の20年間で最も価値のある遺産は、出演した経営者の肩書や企業の成功実績だけではありません。成功の裏側にある葛藤、失敗からの再起、組織を変える決断を記録し続けたことです。
村上龍さんが築いたインタビューの精神は、金原ひとみさんとヒャダインさんによる新体制にも引き継がれています。
番組の歴史を知るには過去回を、新しい経済の見方を知るには現在の放送を。それぞれを見比べることが、村上龍とカンブリア宮殿の20年間を理解する最良の方法です。