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【2026年最新】不動産鑑定士がなくなると言われる5つの理由

天川 空 天川 空 • 更新: • 公開: • 読了約 27 分
目次

不動産鑑定士の将来性に不安が広がる背景には、AIの進化だけでなく、不動産業界そのものの構造変化がある。主な理由は次の5つだ。

1.AIによる不動産価格推定の精度向上

不動産価格の推定には、過去の売買事例、周辺地域の地価、駅からの距離、築年数、面積、建物の構造など、膨大なデータが使われる。

こうした情報はAIが得意とする領域だ。

近年は、蓄積された不動産データを機械学習で分析し、対象物件の推定価格を算出する仕組みも普及している。条件が似ている住宅やマンションであれば、短時間で相場を把握できるようになった。

従来なら鑑定士が時間をかけて収集していた取引事例や市場データの整理も、自動化の対象になっている。

2.不動産価格査定サービスの普及

不動産会社による査定サービスやオンライン価格推定サービスが一般化したことも、仕事がなくなるという不安につながっている。

特に一般的な住宅の売却では、売主が複数の不動産会社から査定価格を取得し、売却価格の目安を把握できる。

このため、単純な価格調査や相場情報の提供だけでは、専門家としての差別化が難しくなっている。

ただし、仲介会社による売却査定と国家資格者による不動産鑑定評価は、目的も制度上の位置付けも異なる。両者を同じサービスとして扱うのは正確ではない。

3.不動産取引データのデジタル化

不動産情報のデジタル化によって、以前は専門家が個別に調べていた情報を効率よく取得できるようになった。

例えば、次のような情報はデジタル技術による処理との相性がよい。

- 周辺地域の売買価格や取引事例
- 地価公示や地価調査のデータ
- 建物の築年数や構造
- 土地の面積や形状
- 最寄り駅や交通アクセス
- 周辺施設や人口動態
- 地域ごとの価格変動

情報収集にかかる時間が短縮されれば、鑑定業務の一部を効率化できる。

一方、データベースに登録されていない権利関係や、近隣の環境変化、個別物件の特殊事情まで正確に把握できるとは限らない。

4.地方の不動産市場縮小と担い手問題

AIとは別の問題として、地方部では人口減少や不動産取引の減少によって、従来型の鑑定業務だけでは事業を維持しにくい地域がある。

国土交通省と日本不動産鑑定士協会連合会が2025年3月に公表した論点整理では、地方部の鑑定業者における公的土地評価への依存度が高いことが指摘されている。

同資料によると、公的土地評価が報酬全体に占める割合は、地方部では通常年でも約4割、固定資産税の標準宅地評価が実施される年には約7割に達する。

都市部と地方部では、仕事の獲得方法や収益構造が異なるのだ。

5.資格取得後のキャリアが見えにくい

不動産鑑定士試験は難関資格であり、合格後にも実務修習が必要となる。

それだけの時間と労力を投じても、必ず高収入や独立開業が実現するわけではない。

また、資格取得後の仕事が地価公示や相続税評価などに偏っている場合、業務の幅を広げにくいという課題もある。

国土交通省の担い手確保に関する資料でも、若手の定着やコンサルティング業務の拡大、適正な報酬の確保が課題として取り上げられている。

つまり、不動産鑑定士がなくなるというより、従来の仕事の取り方だけでは成長しにくくなっていることが、将来不安の大きな原因だ。

【AI代替の実態】AI鑑定価格と不動産鑑定評価は何が違う?

不動産鑑定士なくなる

ここが、不動産鑑定士の将来を考えるうえで最も要点だ。

AIが不動産価格を推定できることと、法律上の不動産鑑定評価を行えることは別問題である。

日本不動産鑑定士協会連合会は、公式サイトの「不動産鑑定士とAI」で、AIには業務を代替する機能と補完する機能があると説明している。

同連合会は、不動産鑑定士について、AIと補完関係にある職業という考え方を示している。

AIが得意な業務と人間が担う業務

AIが活用できる代表的な仕事は、データ分析、価格推定、画像解析、資料の収集・整理、レポート作成などだ。

一方、個別不動産の複雑な事情を判断する仕事には、人間の専門知識と現場での調査が欠かせない。

具体的な違いを整理すると次のようになる。

比較項目 AIによる価格推定 不動産鑑定士による鑑定評価
主な目的 市場価格の予測・参考値の算出 不動産の経済価値の専門的判定
データ処理 大量データを高速分析 AIやデータベースも活用して分析
現地調査 画像・地理情報などで補助 現地状況を調査し個別事情を確認
権利関係 登録情報などから分析 法的権利関係や制約を総合判断
地域特性 数値化された情報を分析 地域事情や市場の変化を踏まえて判断
依頼目的 一般的な価格予測が中心 相続・訴訟・資産評価など個別対応
成果物 推定価格・分析結果 法令に基づく鑑定評価書
責任 システム提供者や利用者などの責任問題 鑑定士・鑑定業者に専門家としての責任

AIが代替しやすい仕事

AIが最も力を発揮するのは、一定のルールに従って繰り返す業務だ。

例えば、過去の取引事例を整理して、対象物件に近い条件の物件を抽出する作業は、自動化しやすい。

また、次のような業務も効率化が期待できる。

- 売買事例の収集と分類
- 価格推定に必要なデータの集計
- 航空写真やドローン画像の解析
- 地域別の価格変動の分析
- 鑑定評価書に使用する基礎資料の整理
- 定型的な文章や報告資料の作成

こうした作業にAIを取り入れれば、鑑定士は調査や分析の中でも、より専門的な判断が必要な部分に時間を使える。

ただし、AIが作成した文章や計算結果をそのまま正式な鑑定評価書として扱えるわけではない。

AIだけでは難しい仕事

不動産には、同じ地域、同じ面積、同じ築年数であっても価格が異なる事情がある。

例えば、次のような問題だ。

- 道路との接面状況や土地の形状
- 再建築の可否や建築上の制限
- 土地に設定された権利や利用制限
- 周辺環境の変化
- 土地の最有効使用
- 災害リスクや地域固有の事情
- 特殊な賃貸借契約や訴訟上の争点

こうした条件を評価するには、単純なデータ比較では足りない。

日本不動産鑑定士協会連合会も、物的状況、法的権利関係、近隣環境、交通アクセス、地域特有の社会的・経済的事情を総合的に判断する必要があると説明している。

特に、相続や訴訟を目的とする評価では、依頼者の事情や評価の目的によって検討すべき内容が変わる。

AIの推定値が一定の精度を持っていたとしても、その数字がなぜ妥当なのかを専門家として説明し、必要な責任を負うことまで自動化できるわけではない。

AI時代に価値が高まる鑑定士の特徴

これからの鑑定士に求められるのは、AIを拒絶する姿勢ではない。

AIによる価格推定を参考にしながら、数字だけでは説明できない個別事情を見つけ、適切な鑑定評価に結び付けられる能力だ。

例えば、AIが周辺相場から1億円という推定価格を算出したとする。

しかし、対象物件に特殊な権利関係や利用制限があれば、その推定価格がそのまま適正な評価額になるとは限らない。

AIの出力を検証し、必要な追加調査を行い、評価の前提と判断過程を説明できる人材には、専門家としての役割が残る。

【独占業務と法律】不動産鑑定士が簡単になくならない本当の理由

不動産鑑定士の将来性を考えるとき、AIの技術的な進歩だけを見ていてはいけない。

もう一つ重要なのが、資格制度を支える法律の存在だ。

不動産の鑑定評価に関する法律が定める業務

不動産鑑定士の制度は、「不動産の鑑定評価に関する法律」に基づいている。

同法第2条では、不動産の鑑定評価を、不動産の経済価値を判定し、その結果を価額で表示することと定義している。

また、報酬を得て不動産の鑑定評価を業として行うことを不動産鑑定業と定めている。

特に注目すべきなのが第35条、第36条、第39条だ。

第35条:不動産鑑定士の設置

不動産鑑定士でない不動産鑑定業者は、事務所ごとに専任の不動産鑑定士を1人以上置く必要がある。

第36条:不動産鑑定士でない者による鑑定評価の禁止

不動産鑑定業者の業務に関して、不動産鑑定士でない者が不動産の鑑定評価を行うことを禁止している。

第39条:鑑定評価書の交付と署名

不動産鑑定業者は、依頼者に鑑定評価書を交付しなければならない。また、鑑定評価に関与した不動産鑑定士は、資格を表示して署名する必要がある。

この仕組みにより、専門家による評価と責任の所在が制度上明確になっている。

ただし、すべての不動産価格の推定や売却査定が不動産鑑定士の独占業務になるわけではない。法律上の鑑定評価に該当するかどうかは、業務の目的や内容、実態などによって判断する必要がある。

地価公示・相続税評価・固定資産税評価との関係

不動産鑑定士の仕事は、個人からの鑑定依頼だけではない。

日本の土地評価制度を支える役割も担っている。

代表的なものが次の3つだ。

1.地価公示

国土交通省の土地鑑定委員会が、毎年1月1日時点の標準地の正常な価格を判定し、3月に公示する制度だ。

鑑定評価員として委嘱された不動産鑑定士が標準地を評価し、価格形成要因を分析する。

地価公示は一般の土地取引の指標となるほか、公共事業用地の取得価格や、ほかの公的土地評価の基準にも利用される。

2.相続税評価

相続税や贈与税の計算では、土地や建物の評価が必要になる。

土地の評価には、路線価方式や倍率方式が用いられる。

路線価は国税庁が公表する財産評価基準の一つであり、地価公示価格などを参考に設定されている。

相続する土地に特殊な事情がある場合には、専門的な評価が必要になることもある。

3.固定資産税評価

固定資産税の土地評価にも不動産鑑定士が関与する。

国土交通省の資料によると、固定資産税に係る標準宅地の評価は3年に一度実施される。全国の土地評価を適正かつ均衡の取れたものにするため、専門的な鑑定評価が活用されている。

このように、不動産鑑定士は税金や公共事業、土地取引の基盤に関係する職業だ。

【登録者数と高齢化の真相】不動産鑑定士は本当に減っているのか?

不動産鑑定士の将来性を考えるうえで、見逃せないのが担い手不足だ。

国土交通省は2025年3月の論点整理で、鑑定業に従事する人材の減少と高齢化を明確に課題として挙げている。

ただし、ここには統計の読み違いが起きやすいポイントがある。

登録者数そのものは減少していない

国土交通省の登録状況によると、不動産鑑定士の登録者数は次のように推移している。

- 2016年1月1日:8,207人
- 2020年1月1日:8,338人
- 2023年1月1日:8,608人
- 2024年1月1日:8,695人
- 2025年1月1日:8,789人

つまり、登録者数だけを見ると、減少ではなく増加している。

一方、鑑定業者に所属する不動産鑑定士等の人数は違う。

国土交通省の報告書によれば、鑑定業者に所属する不動産鑑定士と不動産鑑定士補の合計は、2011年の5,057人から2024年には4,496人に減少した。

これは約11%の減少に当たる。

両者は集計対象が異なるため、単純に比較することはできない。登録者数が増えていても、実際に鑑定業務に従事する人材が減っている可能性があるのだ。

若手の割合が小さく、高齢化が進んでいる

さらに深刻なのが年齢構成だ。

国土交通省と日本不動産鑑定士協会連合会の調査では、2023年時点で不動産鑑定士の40代から60代が全体の74%を占めていた。

一方、30代以下はわずか7%だった。

2003年には30代以下が25%、2013年には18%を占めていたことを考えると、若年層の割合は大きく低下している。

地価公示の鑑定評価員についても同じ傾向が見られる。

2017年の2,477人から2024年には2,264人に減少し、30代の割合も4.5%から1.6%へと低下した。

不動産鑑定士を取り巻く数字の比較

国土交通省などの公表資料を基に整理。集計対象と基準日はそれぞれ異なる。

項目 数値・時期 読み取れる実態
鑑定士登録者数 8,789人(2025年) 登録者数は増加
鑑定業者所属の鑑定士等 4,496人(2024年) 2011年比約11%減
40~60代の鑑定士 74%(2023年) 中高年層に集中
30代以下の鑑定士 7%(2023年) 若手が少ない
地価公示鑑定評価員 2,264人(2024年) 2017年比約8.6%減
2026年論文式試験合格者 208人 前年より35人増
2026年論文式試験合格率 17.6% 前年と同水準

なぜ若い鑑定士が定着しにくいのか

国土交通省の調査では、地方部の鑑定業者における担い手減少が特に顕著だとされている。

2011年から2024年にかけて、都道府県知事登録の鑑定業者に所属する鑑定士等は約13%減少した。

地方部では公的土地評価が報酬に占める割合が高く、鑑定士の専門性を生かした新しい仕事を獲得しにくいという構造的な問題がある。

また、国土交通省の勉強会で行われたヒアリングでは、低価格入札による鑑定評価書の品質への懸念や、地域における不動産鑑定士の認知度不足も課題として挙げられた。

資格そのものの価値がなくなったというより、専門知識を適正な報酬につなげる仕組みが十分に整っていないことが問題になっている。

【現在の需要と評判】不動産鑑定士の仕事はどこまで広がっている?

不動産鑑定士の需要は、単純な不動産売買の価格査定だけで判断できない。

不動産の価値が問題になる場面は、相続、企業経営、公共事業、訴訟、都市開発など幅広いからだ。

現在の主な仕事と業務領域

不動産鑑定士が活躍する代表的な分野を整理してみよう。

不動産鑑定評価

土地、マンション、オフィスビル、商業施設などの経済価値を評価する。

相続・資産承継

相続財産の分割や不動産の適正価格の把握などを支援する。税理士や弁護士との連携も重要になる。

企業不動産(CRE)

企業が所有する不動産の価値を分析し、売却、保有、集約、活用などの経営判断を支援する。

M&A・事業承継

企業買収や事業承継において、不動産資産の価値を分析する。

公共事業・まちづくり

公共用地の取得、自治体の保有資産の利活用、都市開発などに専門知識を提供する。

訴訟・裁判関連

不動産価格が争点になる訴訟などで、専門的な鑑定評価や意見書の作成に関わる。

2026年はコンサルティング業務の拡大が重要テーマ

特に注目したいのが、国土交通省による業務領域の拡大策だ。

2026年3月、国土交通省は「不動産鑑定士のコンサルティング業務領域拡大のための参考マニュアル」を取りまとめた。

これは2025年度の検討を踏まえ、鑑定士が不動産に関する専門知識を使ってコンサルティング業務に取り組む際のポイントや実例を整理したものだ。

つまり、国の政策も従来型の鑑定評価だけに依存する働き方から、専門知識を幅広く活用する方向に進んでいる。

コンサルティング業務の需要を示す調査結果

2025年3月公表の国土交通省の論点整理では、不動産鑑定士によるコンサルティング業務の実態も調査されている。

回答に含まれた386件のコンサルティング業務のうち、288件、つまり74.6%で報酬が発生していた。

加えて、今後有望と考えられる業務分野として、次の内容が多く挙げられている。

- 不動産の利活用に関する相談:128件、22.0%
- 相続に関する相談:124件、21.3%
- 鑑定評価の条件や対象確定に関する相談:76件、13.0%
- 公的土地評価に関する相談:65件、11.1%
- 都市開発・まちづくりに関する相談:60件、10.3%

数値は今後有望と考えるコンサル業務に関するアンケート回答583件の内訳。

この調査結果から分かるのは、不動産鑑定士の専門知識を求める分野が、価格の算出だけに限定されていないことだ。

不動産鑑定士の評判は良い?課題は何か

不動産鑑定士は、専門性の高い国家資格として、金融機関、不動産会社、企業の資産管理部門、行政機関などで活用されている。

一方、一般消費者から見ると、弁護士や税理士に比べて仕事内容が分かりにくいという問題もある。

国土交通省のヒアリングでも、地方自治体側から、鑑定士にどのような業務を依頼できるのか十分に知られていないという課題が示されている。

つまり、専門家としての評価と、社会一般における知名度には差がある。

今後は鑑定評価書を作成する能力だけでなく、専門知識を依頼者の経営や資産管理に役立つ形で提供できるかどうかが、仕事の評価を左右すると考えられる。

【2026年の将来性】不動産鑑定士を目指す価値はある?

では、これから不動産鑑定士を目指す人にとって、この資格は魅力的なのだろうか。

2026年の状況を踏まえると、資格の将来性は残っている。ただし、資格を取得するだけで安定したキャリアが約束される時代ではない。

2026年の不動産鑑定士試験は合格率17.6%

国土交通省は2026年10月16日、令和8年不動産鑑定士試験の論文式試験の合格者を発表した。

今回の試験結果は次のとおりだ。


2026年・論文式試験の結果


1,182人


受験者数


208人


合格者数


17.6%


最終合格率


31.6歳


合格者の平均年齢

国土交通省発表。合格率は論文式試験の受験者に対する割合。

2025年の論文式試験では173人が合格し、合格率は17.6%だった。

2026年は合格者が208人に増えたものの、合格率は前年と同じ水準だった。

この数字は、不動産鑑定士の資格取得を目指す人が一定数存在し、試験制度も継続して運営されていることを示している。

なお、17.6%は短答式試験を含む全受験者の最終合格率ではなく、論文式試験の受験者を分母とした数字だ。

また、合格後は実務修習を受講し、必要な課程を修了したうえで国土交通省の名簿に登録される必要がある。試験合格だけで直ちに不動産鑑定士として登録されるわけではない。

今後需要が期待される5つの分野

不動産鑑定士として長期的に活躍するなら、次の分野に注目したい。

1.相続・事業承継

高齢化に伴い、相続財産の分割や不動産の活用方法について専門的な相談が必要になる場面がある。

不動産の価値を適切に把握し、税理士や弁護士と連携できる鑑定士には活躍の余地がある。

2.企業不動産の戦略支援

企業が所有する土地や建物について、保有を続けるべきか、売却するべきか、賃貸に出すべきかを分析する仕事だ。

会計や経営の知識を組み合わせれば、鑑定評価にとどまらないサービスを提供できる。

3.都市再開発・不動産活用

都市部では再開発や土地の高度利用、地方では遊休不動産や空き施設の活用など、地域事情に応じた専門的な助言が求められる。

4.海外不動産投資

海外の不動産に投資する企業や投資家に対して、国内外の評価制度や市場特性を理解した専門家が必要になる場面もある。

5.災害リスク・環境価値の評価

災害リスクや環境性能など、不動産の価値に影響する要素を分析する仕事も、専門領域として考えられる。

ただし、これらすべてがすでに大規模な市場として確立しているわけではない。国土交通省の調査でも、今後の有望分野として整理されている段階のものが含まれる。

不動産鑑定士に向いている人・向いていない人

将来性を判断するときは、資格の知名度や合格率だけでなく、自分の適性を考えることも大切だ。

向いている人

- 不動産や土地の価値を分析することが好きな人
- 法律、経済、会計など幅広い分野を学べる人
- 現地調査や資料分析を地道に続けられる人
- 専門知識を使って顧客の課題を解決したい人
- AIやデジタルツールを積極的に活用できる人
- 他士業や企業担当者と連携することが得意な人

慎重に検討したい人

- 資格を取れば自動的に高収入になると考えている人
- 現地調査や細かい資料確認が苦手な人
- 独立開業すればすぐに顧客が集まると思っている人
- 継続的な勉強や専門知識の更新を避けたい人
- 価格を計算するだけの仕事を希望している人

不動産鑑定士は、専門知識を蓄積するだけでなく、それを依頼者に説明して納得してもらう力も求められる。

AIが普及するほど、単に情報を集めて数字を出す人よりも、数字の意味を理解し、判断できる人の価値が高まる。

【よくある質問】不動産鑑定士がなくなることに関するFAQ

Q1:不動産鑑定士は将来なくなる資格ですか?

A1:2026年現在、資格制度の廃止や専門職の消滅を示す公的な動きは確認されていない。不動産鑑定評価に関する法律に基づく制度があり、国土交通省も担い手確保や業務領域の拡大に取り組んでいる。AIによる業務効率化は進むものの、資格そのものがなくなる可能性は低いと考えられる。

Q2:AIが不動産鑑定士の仕事を完全に代替する可能性はありますか?

A2:価格推定、取引データの分析、資料整理などはAIによる代替や効率化が進むと考えられる。一方、現地調査、複雑な権利関係の判断、個別の依頼目的への対応、鑑定評価書に関する説明責任などは専門家の役割が残る。

Q3:不動産鑑定士の独占業務は何ですか?

A3:不動産鑑定評価に関する法律第36条では、不動産鑑定業者の業務に関し、鑑定士でない者が不動産の鑑定評価を行うことを禁止している。また、第39条では鑑定評価書への鑑定士の署名を定めている。ただし、一般的な価格査定や参考価格の提示まで、すべて独占業務に含まれるわけではない。

Q4:2026年の不動産鑑定士試験の合格率は何%ですか?

A4:2026年の論文式試験の合格率は17.6%。受験者1,182人に対し、208人が合格した。前年の2025年も17.6%だった。

Q5:不動産鑑定士の登録者数は減少していますか?

A5:登録者数そのものは減少していない。国土交通省の資料では2025年1月1日時点で8,789人となっている。一方、鑑定業者に所属する鑑定士等は2011年の5,057人から2024年の4,496人に減少しており、実際の担い手不足と高齢化が課題になっている。

Q6:不動産鑑定士の将来性が高い専門分野は何ですか?

A6:相続、不動産の利活用、企業不動産(CRE)、事業承継、都市開発などが有望分野として挙げられている。国土交通省も2026年3月にコンサルティング業務の参考マニュアルを取りまとめており、専門知識を幅広い業務に応用する方向を示している。

Q7:今から不動産鑑定士を目指しても遅くありませんか?

A7:遅いとはいえない。2026年の論文式試験では208人が合格し、合格者の平均年齢は31.6歳だった。若手の担い手が少ないという課題もある。ただし、試験合格だけでなく、実務修習、登録、就職先や専門分野の選択まで含めた長期的なキャリア設計が必要だ。

2026年の最新情報を総合すると、不動産鑑定士という資格や職業が近い将来なくなると考える根拠は乏しい。

不動産鑑定士には、法律に基づく鑑定評価制度があり、地価公示、相続税評価、固定資産税評価などの公的土地評価を支える役割がある。

一方で、AIによる価格推定や資料作成の自動化は進み、従来の定型業務だけに依存する働き方は変化を迫られている。

加えて、国土交通省の資料が示すように、登録者数と実際の業務従事者数は異なり、若手不足や高齢化、地方部の担い手確保という問題も存在する。

今後の不動産鑑定士に求められるのは、次の3つの能力だ。

1. AIを使いこなす能力: 価格推定やデータ分析を効率化し、専門的な判断に時間を使う。
2. 個別事情を判断する能力: 現地調査、権利関係、地域特性を踏まえて不動産の価値を判断する。
3. 専門知識を事業価値に変える能力: 相続、企業不動産、資産活用、都市開発などに知識を応用する。

特に注目したいのは、国土交通省が2026年3月にコンサルティング業務の拡大に向けた参考マニュアルを公表したことだ。これは、不動産鑑定士の専門性を従来の鑑定評価以外にも広げようとする政策上の動きである。

【プロの結論】

不動産鑑定士の将来を左右するのは、AIに仕事を奪われるかどうかだけではない。

AIが価格を推定できる時代に、人間の専門家がどのような付加価値を提供できるかが問われている。

単なる価格計算を仕事の中心にする鑑定士には厳しい変化が訪れる可能性がある。しかし、法律、経済、会計、不動産市場への理解を組み合わせ、依頼者の課題を解決できる鑑定士には、活躍の余地が残されている。

これから資格取得を目指す人も、すでに資格を持っている人も、AIと競争するのではなく、AIを活用して専門性を高めることが重要だ。

不動産鑑定士はなくなる職業ではなく、仕事の中身と価値の提供方法が変わっていく専門職なのである。

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天川 空
デジタルマーケター 天川 空
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アニメ・漫画の制作発表を担当。制作会社・出版社の公式告知と原作者コメントを確認してから記事化します。

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