2017年12月3日に開催された「M-1グランプリ2017」で、4,094組の頂点に立ったのは、お笑いコンビのとろサーモンだった。決勝ファーストラウンドでは645点の3位通過。1位の和牛(653点)、2位のミキ(650点)を下回りながら、最終決戦で審査員7人中4票を獲得し、第13代王者に輝いた。
この大会は、とろサーモンにとって結成15年以内という出場資格のラストイヤー。長年M-1に挑戦してきた2人が、最後のチャンスで優勝をつかんだドラマチックな大会として知られている。2026年現在も、ファーストラウンドの得点と最終決戦の投票結果が異なる象徴的な大会の一つだ。
決勝10組の順位・得点一覧、和牛とミキとの最終決戦、審査員7人の投票内訳、スーパーマラドーナの敗者復活、そして新たに導入された笑神籤まで、公式大会記録をもとに振り返る。
【大会概要】M-1グランプリ2017はどんな大会だった?

M-1グランプリ2017は、漫才日本一を決める大会の第13回大会。2017年8月1日から予選が始まり、12月3日にテレビ朝日系列で決勝が放送された。
エントリー数は4,094組。優勝賞金は1,000万円で、プロ・アマを問わず、結成15年以内の漫才コンビが出場資格を持っていた。
この年は、決勝進出枠が従来より1組増え、準決勝を勝ち抜いた9組と敗者復活戦を勝ち上がった1組の計10組で王者を争った。
そして、最後に栄冠をつかんだのが、とろサーモンだった。
とろサーモンとはどんなコンビ?
とろサーモン
- メンバー:久保田かずのぶ、村田秀亮
- 所属:吉本興業
- 結成:2002年
- 2017年:結成15年目のラストイヤー
- M-1グランプリ2017:優勝
久保田かずのぶの独特なキャラクターと、村田秀亮の安定したツッコミが持ち味のコンビだ。
公式大会レポートによると、2人は準決勝進出9回を経験しながら、2017年に初めて決勝へ進出したわけではなく、決勝進出自体は初めてではなかったものの、この年がラストイヤーだった。
また、公式大会の記録では、敗者復活戦への出場は史上最多の10大会連続と紹介されている。長年の挑戦を経て、最後の出場資格がある年に頂点へ到達したことが、大会の物語をより印象深いものにした。
【決勝結果一覧】ファイナリスト10組の順位と得点を完全公開
M-1グランプリ2017の決勝では、7人の審査員が各コンビを100点満点で採点した。
ファーストラウンドの合計点で上位3組が最終決戦へ進出し、最後は別途行われる投票によって優勝者が決定する仕組みだった。
M-1グランプリ2017の順位・得点一覧出典:M-1グランプリ公式サイト「2017年大会決勝結果」。かまいたちとスーパーマラドーナは、ともに640点。順位は公式履歴の掲載に準拠。
注目すべきは、ファーストラウンドの最高得点を記録した和牛が優勝していないことだ。
和牛は653点、ミキは650点、とろサーモンは645点。得点だけを見れば、とろサーモンは3番手だった。
しかし、最終決戦では得点の持ち越しではなく、審査員の投票によって勝敗が決まる。このルールこそが、2017年大会最大の見どころだった。
ファーストラウンドで注目された3組1位相当の得点を獲得した和牛
和牛は653点を獲得。7人の審査員から高い評価を受け、安定感と構成力を示した。前年大会でも2位だった和牛は、2年連続で優勝争いの中心に立った。
2番手のミキ
ミキは650点。兄弟ならではの掛け合いと、テンポの速い関西弁漫才で会場を盛り上げた。公式レポートでも、兄弟漫才師としての勢いと大きな動きが印象的に紹介されている。
3番手から優勝したとろサーモン
とろサーモンは645点。審査員の得点が突出していたわけではないが、最終決戦で再び強い印象を残した。
この3組が、2017年大会の最後の舞台で優勝を争うことになった。
【最終決戦の投票結果】とろサーモンはなぜ和牛に勝てた?
2017年大会を語るうえで欠かせないのが、最終決戦の投票結果だ。
ファーストラウンドで上位3組に入ったとろサーモン、和牛、ミキが、もう一度漫才を披露。7人の審査員がそれぞれ最も面白いと思ったコンビに投票した。
最終決戦の投票内訳
とろサーモン4票
渡辺正行・中川家 礼二・春風亭小朝・博多大吉
和牛3票
オール巨人・松本人志・上沼恵美子
ミキ0票
投票なし
審査員7人による最終決戦の投票結果
結果は、とろサーモン4票、和牛3票、ミキ0票。
わずか1票差で、とろサーモンが優勝を決めた。
審査員7人の顔ぶれ2017年大会では、前回大会の5人から審査員が7人に増員された。
- オール巨人
- 渡辺正行
- 中川家・礼二
- 春風亭小朝
- 博多大吉
- 松本人志
- 上沼恵美子
漫才師、落語家、コメディアンなど、異なる立場から漫才を評価する顔ぶれだった。
特に注目したいのは、和牛に投票したのがオール巨人、松本人志、上沼恵美子の3人だったこと。一方、とろサーモンには渡辺正行、中川家・礼二、春風亭小朝、博多大吉の4人が票を投じた。
つまり、和牛のファーストラウンドの高得点は決して低評価を意味しない。最終決戦で披露された漫才を、それぞれの審査員がどう評価したかが勝敗を分けたのである。
和牛が2位になった理由は?和牛は653点という全出場者最高の得点を獲得した。
それでも優勝できなかった理由は、ファーストラウンドと最終決戦の審査が別々に行われるためだ。
最終決戦では、和牛も旅館の客と女将を題材にした漫才を披露し、会場を大いに沸かせた。公式レポートでも、審査員から難しい判断だったことが伝わるコメントが紹介されている。
和牛は決して失速したわけではない。とろサーモンが最後の投票で、わずかに多くの支持を得たという結果だった。
【敗者復活戦と笑神籤】スーパーマラドーナが決勝へ進んだ舞台裏
M-1グランプリ2017では、敗者復活戦とネタ順決定方法にも大きな変更や見どころがあった。
スーパーマラドーナが敗者復活を勝ち取る決勝進出を決めた9組とは別に、敗者復活戦を勝ち抜いた1組が決勝へ進める仕組みだった。
2017年の敗者復活戦には20組が出場。視聴者投票による結果発表が行われ、最終候補として残ったのは次の4組だった。
- アインシュタイン
- 天竺鼠
- ハライチ
- スーパーマラドーナ
そのなかから決勝進出を決めたのが、スーパーマラドーナだった。
武智と田中のコンビは、敗者復活戦を勝ち上がって決勝の舞台へ。田中が合コンをテーマにしたネタで暴れ回り、最後の10組目として優勝争いに加わった。
結果は640点で5位。最終決戦には届かなかったものの、敗者復活組として存在感を示した。
笑神籤(えみくじ)が初導入された大会2017年大会の大きな特徴が、笑神籤(えみくじ)の導入だ。
これは決勝のネタ順を決めるための新しい方式。司会者がくじを引き、そこに書かれたコンビが次の出番になる。
公式大会レポートによれば、くじは京都の車折神社でお清めされたものが使用された。
従来のように、あらかじめ決められた出番順で漫才を披露するのではなく、舞台裏で待機するコンビの名前が引かれるたびに出番が決まる方式だった。
この仕組みには、次のような特徴がある。
- 出番順が事前に固定されない。
- 待機中の芸人にも緊張感が生まれる。
- 後半の出番になるかどうかが直前まで分からない。
- それぞれのコンビが準備していたネタの披露タイミングにも影響する。
2017年は、現在のM-1にもつながる笑神籤の歴史が始まった大会でもある。
【優勝理由を徹底分析】とろサーモンが3位から逆転できた3つの要因
645点というファーストラウンド3位の成績から、最終決戦で優勝したとろサーモン。
なぜ2人は和牛を上回る評価を獲得できたのか。公式大会レポートと得点・投票データから、その背景を3つの視点で整理する。
1. 最終決戦でのつかみとテンポの良さ公式大会レポートでは、とろサーモンの最終決戦について、久保田のふてぶてしさを生かした掛け合いが好調だったと紹介されている。
また、投票後には博多大吉が、2人の漫才について「つかみのスピードがピカイチだった」と評価した。
漫才では、序盤で観客を引き込めるかどうかが、その後の展開に大きく関係する。
とろサーモンは、久保田の独特なキャラクターと村田のツッコミを組み合わせ、2人ならではのテンポで笑いを生み出した。
この評価は、最終決戦で4票を獲得した結果とも結びついている。
2. ラストイヤーに懸けた経験と完成度とろサーモンは2017年がラストイヤーだった。
結成から長い年月を経て、M-1の舞台に挑み続けてきた2人にとって、この大会は単なる決勝進出ではなく、出場資格がある最後の年だった。
公式レポートによると、決勝での渡辺正行は、とろサーモンの漫才について、ラストイヤーにもかかわらず軽くふざけられることを高く評価した。
また、優勝後の会見では、村田が売れない時代の長さに触れ、優勝をまだ受け入れられないという趣旨のコメントを残している。
久保田も、長い間M-1を憎みながら漫才をしていた部分があったと振り返り、この日の結果によって報われたという思いを語った。
長い挑戦の末に結果を出したことは、2017年大会の象徴的な出来事だった。
3. ファーストラウンドとは異なる最終決戦の評価3つ目は、大会の審査方式そのものだ。
ファーストラウンドでは和牛が653点でトップ。ミキが650点、とろサーモンが645点だった。
しかし、最終決戦では改めて漫才を披露し、審査員が投票する。
つまり、最初の採点で高得点を獲得したことが、そのまま優勝を保証するわけではない。
| 評価の段階 | 決定する内容 |
|---|---|
| ファーストラウンド | 上位3組の選出 |
| 最終決戦 | 7人の審査員による投票 |
| 最終結果 | 投票数で優勝者を決定 |
2017年は、この仕組みが明確に表れた大会だった。
とろサーモンはファーストラウンドで首位ではなかったが、最後の漫才で4人の審査員から支持された。
点数の高さだけでなく、最後の一組として選ばれる漫才を披露できたこと。 これが逆転優勝を理解するうえで最も要点だ。
2017年大会のファイナリストと関係性| コンビ | 大会での位置づけ | 結果・特徴 |
|---|---|---|
| とろサーモン | ラストイヤーの挑戦者 | 645点・優勝 |
| 和牛 | 前年2位の実力者 | 653点・最終決戦2位 |
| ミキ | 兄弟漫才の新勢力 | 650点・最終決戦3位 |
| スーパーマラドーナ | 敗者復活組 | 640点・5位 |
| かまいたち | キングオブコント優勝後の参戦 | 640点・4位 |
| ジャルジャル | 決勝経験者 | 636点・6位 |
| さや香 | 決勝初進出 | 628点・7位 |
| ゆにばーす | 決勝初進出 | 626点・8位 |
| カミナリ | 前年に続く決勝進出 | 618点・9位 |
| マヂカルラブリー | 決勝初進出 | 607点・10位 |
2017年大会は、実績あるコンビと初進出組が入り交じる構成だった。
特に、後に大きな活躍を見せるコンビが複数そろっていた点でも、振り返る価値の高い大会といえる。
【歴代優勝者一覧】2017年のとろサーモンは何代目王者?
M-1グランプリは2001年に始まり、2010年大会を最後に一度休止。その後、2015年に復活した。
とろサーモンは、復活後3大会目となる2017年の第13代王者だ。
M-1グランプリ歴代優勝者| 開催年 | 優勝コンビ |
|---|---|
| 2001年 | 中川家 |
| 2002年 | ますだおかだ |
| 2003年 | フットボールアワー |
| 2004年 | アンタッチャブル |
| 2005年 | ブラックマヨネーズ |
| 2006年 | チュートリアル |
| 2007年 | サンドウィッチマン |
| 2008年 | NON STYLE |
| 2009年 | パンクブーブー |
| 2010年 | 笑い飯 |
| 2011~2014年 | 大会休止 |
| 2015年 | トレンディエンジェル |
| 2016年 | 銀シャリ |
| 2017年 | とろサーモン |
| 2018年 | 霜降り明星 |
| 2019年 | ミルクボーイ |
| 2020年 | マヂカルラブリー |
| 2021年 | 錦鯉 |
| 2022年 | ウエストランド |
| 2023年 | 令和ロマン |
| 2024年 | 令和ロマン |
| 2025年 | たくろう |
2017年の特徴は、ファーストラウンド3位のコンビが最終決戦で優勝したことだけではない。
長年挑戦を続けてきたコンビが、ラストイヤーに初めて王者になったことも大きい。
また、翌2018年には霜降り明星、2019年にはミルクボーイと、異なる個性を持つコンビが優勝している。
2017年は、経験を積んだ実力派と新しい漫才スタイルが交差した、M-1の歴史を考えるうえでも興味深い転換点だった。
【プロの結論】M-1グランプリ2017を振り返るときの重要な判断基準
2017年大会の結果を正確に理解するには、次の3つを区別する必要がある。
第一に、ファーストラウンドの順位と最終順位は別物であること。
和牛は653点でトップだったが、最終決戦では3票。とろサーモンは645点ながら4票を獲得した。最初の得点だけで優勝者を判断してはいけない。
第二に、敗者復活と決勝進出は異なる経路であること。
スーパーマラドーナは敗者復活戦を勝ち抜いて決勝へ進んだ。とろサーモンは敗者復活組ではなく、準決勝から決勝へ進んだコンビだ。
第三に、2017年大会はラストイヤーのドラマだけでなく、漫才の評価方式にも注目すべき大会であること。
笑神籤の導入、審査員7人体制、最終決戦の接戦など、現在のM-1を理解するうえで押さえておきたい要素が詰まっている。
【M-1グランプリ2017】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:M-1グランプリ2017の優勝者は誰ですか?
A1:とろサーモンです。2017年12月3日の決勝で、ファーストラウンド645点の3位から最終決戦に進み、審査員7人中4票を獲得して優勝しました。
Q2:M-1グランプリ2017で1位だったのは和牛ですか?
A2:ファーストラウンドの得点では和牛が653点で1位でした。ただし、最終決戦ではとろサーモンが4票、和牛が3票となり、とろサーモンが優勝しています。
Q3:M-1グランプリ2017の決勝3位は誰ですか?
A3:ミキです。ファーストラウンドで650点を獲得し、最終決戦にも進出しましたが、審査員からの最終投票は0票でした。
Q4:M-1グランプリ2017の敗者復活戦を勝ち抜いたのは誰ですか?
A4:スーパーマラドーナです。20組が参加した敗者復活戦を勝ち抜き、決勝の10組目として出場しました。
Q5:M-1グランプリ2017の審査員は誰ですか?
A5:オール巨人、渡辺正行、中川家・礼二、春風亭小朝、博多大吉、松本人志、上沼恵美子の7人です。
Q6:M-1グランプリ2017から導入された笑神籤とは何ですか?
A6:決勝のネタ順を決めるくじ引き方式です。司会者がくじを引き、名前が出たコンビから順番に漫才を披露する仕組みで、2017年大会から導入されました。
M-1グランプリ2017の優勝者は、とろサーモン。4,094組が参加した大会で、ファーストラウンド645点の3位から最終決戦に進み、審査員7人のうち4票を獲得して第13代王者となった。
2位の和牛は653点、3位のミキは650点。数字だけを見れば和牛が最も高い評価を受けていたが、最後の投票で勝ったのはとろサーモンだった。
加えて、ラストイヤーという背景、長年の挑戦、スーパーマラドーナの敗者復活、笑神籤の初導入など、2017年大会には見どころが多い。
2026年に過去のM-1を振り返るなら、単純な順位だけでなく、ファーストラウンドと最終決戦の違いにも注目してほしい。
M-1グランプリ2017は、最も高い得点を獲得したコンビが必ずしも優勝するわけではないこと、そして最後の4分間が漫才師の運命を変えることを示した大会だった。
主な参照資料:M-1グランプリ公式サイト「2017年決勝リポート」「2017年大会結果」「大会の歴史」、日刊スポーツ2017年12月3日・4日付の大会報道。