最初に押さえておきたいのは、「今日から俺は!!」には一人の監督だけが存在するわけではないという点だ。2018年のテレビドラマ、2020年の劇場版、1990年代の東映Vシネマでは、それぞれ制作時期も監督も異なる。
特に検索で混同されやすいのが、福田雄一と鹿島勤の名前だ。福田雄一は2018年以降の現代版を代表する監督であり、鹿島勤は1990年代の初期実写シリーズを担当した映画監督である。
2018年ドラマの脚本・演出、2020年劇場版の監督・脚本を担当。
1993年のVシネマ、1994年の劇場公開版など初期実写作品を担当。
福田雄一とともにテレビドラマの演出クレジットに名前が記載されている。
この3人の役割を理解すれば、検索結果に複数の監督名が表示される理由も整理できる。なお、1997年のVシネマ作品には伊藤裕彰も監督として参加しており、1990年代版をすべて鹿島勤作品とするのも正確ではない。
【2018年ドラマ】福田雄一と鈴木勇馬の演出はどう違う?

2018年10月14日から12月16日まで日本テレビ系列で放送された連続ドラマ『今日から俺は!!』は、全10話。主演の賀来賢人が三橋貴志を、伊藤健太郎が伊藤真司を演じた。
制作スタッフの公式クレジットで確認できる要点は、脚本が福田雄一、演出が福田雄一と鈴木勇馬という組み合わせだ。したがって、福田だけをドラマ全体の演出担当として紹介すると、鈴木勇馬の参加を見落とすことになる。
福田雄一は脚本と演出の両方を担当福田雄一の特徴は、物語を組み立てる脚本と、俳優の演技や映像表現を決める演出の両方に携わることだ。
『銀魂』シリーズや『勇者ヨシヒコ』シリーズなどでも知られる福田は、コメディーを軸にした実写作品を数多く手がけてきた。『今日から俺は!!』でも、原作のキャラクター性を生かしながら、テンポの速い掛け合いや大げさなリアクションを取り入れた。
2018年11月のMANTANWEBのインタビューでは、福田は漫画の実写化について、原作ファンが作品を愛する理由を理解することが重要だと説明している。キャラクターが絶対に言わないこと、作品の魅力を損なう表現を避けることにも注意を払っていた。
「この原作がなぜ愛されているのか」 福田雄一監督の2018年MANTANWEBインタビューより。原作の魅力を理解する姿勢についての発言。
この考え方は、三橋の卑怯さや伊藤の真っすぐな性格を映像化する際にも関係している。単に不良同士の喧嘩を描くのではなく、二人の性格の対照性を笑いにつなげることが、ドラマ版の大きな特徴になった。
鈴木勇馬はどのような立場だったのか鈴木勇馬は、福田雄一とともに2018年ドラマの演出を担当した人物だ。
日本テレビの公式スタッフ情報では、鈴木の過去の担当作品として『先に生まれただけの僕』『ゆとりですがなにか』『東京タラレバ娘』『花咲舞が黙ってない』などが挙げられている。
ここで注意したいのは、鈴木勇馬を福田雄一の単なる演出補や助監督として扱わないことだ。公式クレジット上の役職は「演出」であり、福田と並んで記載されている。個々の話数の担当範囲については、全体のスタッフ表だけから断定できない。
2018年版の制作背景日本テレビの高明希プロデューサーは、2019年のORICON NEWSのインタビューで、当時を知る世代には懐かしく、知らない世代には新鮮に感じられる作品を目指したと振り返っている。
80年代のツッパリ文化を知る親世代と、それを知らない子ども世代が一緒に楽しめるという企画意図が、作品の幅広い視聴者層につながった。福田のコメディー演出は、この世代間のギャップを笑いに変える役割も担っていた。
【2020年映画】劇場版の監督も福田雄一!ドラマとの違い
2020年7月17日に公開された『今日から俺は!!劇場版』も、監督は福田雄一だ。脚本も福田が担当しており、2018年のドラマから制作上の中心人物が引き継がれた作品となっている。
日本映画データベース(JFDB)の作品情報によると、上映時間は114分。配給は東宝で、原作は西森博之。ドラマの主要キャストも続投している。
劇場版で描かれたのは原作の北根壊編映画版の物語では、三橋と伊藤が3年生になった時期に、隣町の北根壊高校が開久高校の一角を間借りすることになる。
北根壊高校を率いる柳鋭次と大嶽重弘が登場し、開久高校の生徒たちを巻き込んだ騒動が展開する。柳鋭次を柳楽優弥、大嶽重弘を栄信が演じ、森川涼子役には山本舞香が起用された。
映画ではドラマ版のキャラクターを維持しながら、新しい敵役を加えることで、シリーズの世界観を広げている。
福田雄一が映画化で意識したこと劇場版公開に際して、あしかがフィルムコミッションが掲載した福田雄一監督のインタビューには、映画ならではの演出方針が具体的に語られている。
「アクションの幅をデカくしたいというのがありましたね」 2020年、あしかがフィルムコミッション掲載の福田雄一監督インタビューより。
福田は、映画ではアクションの規模を大きくし、くだらない笑いとの二極構造を強めたかったと説明している。一方で、ドラマの基本路線を大きく変えるつもりはなく、勧善懲悪の構図や、それまで敵だった人物が仲間になる展開も引き継いだ。
つまり、劇場版はドラマ版を別の方向へ作り直した作品ではない。テレビシリーズで確立した笑いと人間関係を維持しながら、映画館のスクリーンに合うアクションへとスケールアップした続編的な映画化だった。
劇場版の興行成績も大きな話題に映画の成功を示すデータとして、2020年9月10日には公開56日目で観客動員390万人、興行収入50億円を突破したと東宝が発表した。2020年公開作品の中でも大きなヒットとなった。
この数字は、福田雄一によるコメディー演出と、ドラマから続投したキャストの組み合わせが劇場作品としても支持されたことを示す材料だ。
【1990年代の実写版】鹿島勤と伊藤裕彰の担当作品を一覧比較
『今日から俺は!!』の歴代実写版を調べるうえで、見落とせないのが1990年代の東映Vシネマシリーズだ。
1993年1月、テレビドラマ版より25年も前に、西森博之の漫画は初めて実写化された。東映Vシネマとして制作されたシリーズは、劇場公開作品を含めて全6作に及ぶ。映画.comの2020年10月の報道でも、シリーズ全6作のDVD化が紹介されている。
1990年代版の監督・作品関係一覧各作品のスタッフ情報を整理すると、1990年代の初期作品では鹿島勤が中心となり、1997年の後期作品では伊藤裕彰へ監督が交代している。
出典:映画.comのシリーズ紹介、東映ビデオ作品情報、各作品のスタッフデータ。
この表から分かるように、1990年代の実写版を鹿島勤だけでまとめるのは正確ではない。最初のVシネマ2作品、1994年の劇場公開作品、1995年の『電撃の17才』は鹿島勤が担当し、1997年の2作品は伊藤裕彰が監督を務めている。
鹿島勤が担当した初期シリーズの特徴鹿島勤は、日本映画監督協会の会員名鑑にも掲載されている映画監督だ。同協会の経歴には、1994年の『今日から俺は!!』や1992年のVシネマシリーズが記載されている。
1993年のVシネマ版では、三橋貴志が三橋役、が伊藤役を演じた。現在のテレビドラマ版とは異なり、三橋役の俳優が役名と同じ名前を持っていたことも特徴的だ。
1994年2月19日公開の劇場版では、三橋貴志と中倉健太郎に加え、高橋かおり、久我陽子、塩見三省、モト冬樹、香川照之らが出演。脚本は田部俊行が担当した。
1997年から伊藤裕彰に監督が交代1997年の『ガッツだぜ17才』と『嵐を呼ぶ17才』では、監督が伊藤裕彰に交代した。
一方で、脚本は引き続き田部俊行が担当している。つまり、1990年代シリーズでは、監督が鹿島勤から伊藤裕彰へ変わっても、脚本家は共通していた。
『ガッツだぜ17才』では転校生・高崎をめぐる校内の騒動、『嵐を呼ぶ17才』では北根壊高校を率いる柳と大嶽との対立が描かれる。いずれも三橋と伊藤のコンビを軸にした青春コメディーだ。
この監督交代は、作品名だけを見ていると気づきにくいポイントだ。1990年代の実写版を通して視聴する場合は、鹿島勤作品と伊藤裕彰作品を分けて考えると、シリーズの変遷が理解しやすくなる。
【監督の違いを徹底比較】福田雄一と鹿島勤は何が違う?
福田雄一と鹿島勤の違いを理解するには、単純に演出の好みだけで比較するのではなく、制作時代と脚本・演出の分担に注目する必要がある。
1. 脚本と演出の担当体制が異なる福田雄一版の大きな特徴は、脚本と演出を同じ人物が担当する体制だ。
2018年のテレビドラマでは福田が脚本を担当し、演出にも参加。2020年の劇場版でも監督と脚本を兼任した。物語の構成と映像表現を一体的にコントロールしやすい制作体制だった。
対して、1990年代版では鹿島勤や伊藤裕彰が監督を担当し、田部俊行が脚本を担当している。監督と脚本家の役割が明確に分かれていた点が大きな違いだ。
2. 映像化された時代が違う1990年代版は、漫画の連載が続いていた時期に実写化された作品だ。原作の人気を背景に、Vシネマという劇場未公開作品を中心とした映像展開が行われた。
2018年版は、原作連載終了から約20年が経過した後のテレビドラマ化だ。1980年代のツッパリ文化を知らない視聴者にも楽しめるように、コメディーやキャラクター同士の掛け合いが前面に出された。
同じ1980年代を舞台にした作品でも、制作された時代の違いによって、視聴者に届けるための表現や企画の狙いが変わっている。
3. キャストとキャラクターの表現が異なる1990年代版
三橋貴志・中倉健太郎を中心としたキャスト構成。
2018年版
賀来賢人・伊藤健太郎を中心にした新しいキャスト構成。
1990年代版では三橋貴志と中倉健太郎が三橋・伊藤を演じた。2018年版では賀来賢人と伊藤健太郎が新たにコンビを組んでいる。
赤坂理子役も1994年版の高橋かおりから、2018年版の清野菜名へと変わった。早川京子役も久我陽子から橋本環奈へと交代している。
原作のキャラクターを維持しながら、俳優や演出を時代に合わせて変えてきたことが、歴代実写版の大きな特徴だ。
4. どちらから見るべきか初めて『今日から俺は!!』の実写作品を見るなら、2018年ドラマから入ると人物関係や世界観を把握しやすい。続けて2020年の劇場版を見ることで、福田雄一版の物語を一貫して楽しめる。
一方、1990年代版に興味がある人は、1993年の第1作から順番に視聴するとよい。監督の交代やキャストの変化を追えるため、実写化の歴史そのものを楽しめる。
【2026年最新情報】今日から俺は!!の続編や新作はある?
2026年11月現在、過去の実写作品について確認できる主要な公式情報は、日本テレビのドラマ公式ページ、劇場版の作品データ、東映ビデオの旧作情報などに掲載されている。
日本テレビの公式ページでは、連続ドラマや劇場版、スペシャルドラマの関連情報が引き続き紹介されている。2021年2月には、連ドラ・劇場版・スペシャルドラマのシリーズ関連情報も掲載された。
一方、今回確認できた公式作品情報には、2026年の新作ドラマや劇場版第2弾の制作決定を示す発表は見当たらない。したがって、続編の監督が福田雄一に決まった、あるいは新しい監督が起用されたといった情報を確定事項として扱うことはできない。
2026年に気をつけたい3つの誤解誤解1:今日から俺は!!の監督は福田雄一だけ
2018年のテレビドラマには鈴木勇馬も演出として参加している。映画版の監督は福田雄一だが、ドラマ版のスタッフ構成とは区別する必要がある。
誤解2:1990年代の実写版はすべて鹿島勤が監督
1997年の『ガッツだぜ17才』『嵐を呼ぶ17才』は伊藤裕彰が監督している。鹿島勤の担当作品と混同しないことが大切だ。
誤解3:1994年版と2020年版は同じ劇場映画
どちらも映画として公開されているが、1994年版は東映Vシネマシリーズの第3弾として制作された作品であり、2020年版は2018年のテレビドラマから続く別の実写シリーズだ。タイトルが同じでも制作体制や出演者は異なる。
【今日から俺は!!の監督】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:2018年のドラマ『今日から俺は!!』の監督は誰ですか?
A1:脚本は福田雄一が担当し、演出は福田雄一と鈴木勇馬の2人が担当しています。日本テレビの公式スタッフ情報でも、この2人の名前が演出として記載されています。
Q2:2020年の『今日から俺は!!劇場版』の監督は誰ですか?
A2:福田雄一です。脚本も福田雄一が担当しています。公開日は2020年7月17日で、上映時間は114分です。
Q3:1990年代の『今日から俺は!!』の監督は誰ですか?
A3:初期作品の監督は鹿島勤です。1993年のVシネマ、1994年の劇場公開版、1995年の『電撃の17才』を担当しました。1997年の『ガッツだぜ17才』『嵐を呼ぶ17才』は伊藤裕彰が監督しています。
Q4:福田雄一と鈴木勇馬は共同監督だったのですか?
A4:日本テレビの公式クレジットでは、両者は「演出」として記載されています。映画の監督表記とテレビドラマの演出表記を区別するのが正確です。
Q5:2026年に『今日から俺は!!』の続編は公開されますか?
A5:2026年11月現在、今回確認できた公式情報では新作の公開決定は確認できません。続編の公開日や監督についても正式な発表は確認できないため、公式発表を基準に判断する必要があります。
Q6:原作の漫画『今日から俺は!!』を描いたのは誰ですか?
A6:漫画家の西森博之です。1988年に『増刊少年サンデー』で連載が始まり、1990年に『週刊少年サンデー』へ移籍。1997年まで連載されました。
『今日から俺は!!』の監督を整理すると、2018年のテレビドラマは福田雄一と鈴木勇馬が演出を担当し、2020年の劇場版は福田雄一が監督・脚本を務めた。一方、1990年代の東映Vシネマシリーズでは鹿島勤が初期作品を担当し、1997年の後期2作品では伊藤裕彰に監督が交代している。
この違いを理解するうえで重要なのは、作品のタイトルだけでなく、公開・製作年、映像作品の形式、脚本家と監督のクレジットを合わせて確認することだ。
特に、福田雄一の脚本・演出によって生まれた2018年版と2020年版は、同じ制作上の方向性を持つシリーズ。一方、1990年代版は田部俊行の脚本を軸に、鹿島勤と伊藤裕彰が監督を務めた別の実写化の歴史を持っている。
これから作品を見比べるなら、まず2018年のドラマと2020年の劇場版を続けて視聴し、その後1993年から始まる東映Vシネマシリーズへ進むのがおすすめだ。監督、脚本、出演者の変化を追うことで、西森博之の原作が時代ごとにどのような映像作品へ生まれ変わってきたのかが、より鮮明に見えてくる。